【都市のミライ】リニア中央新幹線開業見据え再開発本格化 名古屋・栄地区のこれから | 建設通信新聞Digital

4月25日 木曜日

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【都市のミライ】リニア中央新幹線開業見据え再開発本格化 名古屋・栄地区のこれから

 名古屋市ではリニア中央新幹線の開業を見据え、民間による新たな拠点などの整備が進んでいる。名古屋駅周辺地区の再開発が具体化する中、同地区の都市機能を補完する「栄地区」でも、栄角地の再開発など各種事業が本格的に動き出した。

再開発計画周辺図


◆シンボル性ある複合施設
 名古屋市と大丸松坂屋百貨店は、栄地区の目抜き通りにある通称「栄角地」に、シンボル性のある複合施設を建設する錦三丁目25番街区市有地等活用事業を進める。現在は事業候補者の三菱地所グループと同地の開発に向けて協議中だ。2020年度内に基本協定・土地売買契約を締結、22年に土地を引き渡し、着工する予定だ。26年の供用開始を目指す。

栄角地複合施設の完成イメージ(提供:三菱地所)


 施設の規模は地下4階地上36階建て延べ9万9500㎡。栄地区の憩いやにぎわい、文化発信などの役割を担う拠点とする。また、地下街と直結させバリアフリー動線も確保する。

 場所は中区錦3-25の市有地1823㎡と、大丸松坂屋百貨店が所有する土地3043㎡の計4866㎡。

 同事業をめぐって市は、18年12月に「栄角地の活用の考え方」を作成、市有地などを民間事業者に売却し、地区の魅力向上を先導する開発を進める方針を発表した。その中でシンボル性の高い景観形成、求心性を高める都市機能の集積、バリアフリー動線の確保、久屋大通公園との調和を主な開発条件に設定した。

 その後、市住宅都市局と大丸松坂屋百貨店は同事業の公募型プロポーザルを実施し、20年3月に三菱地所を代表に日本郵政不動産、明治安田生命保険、中日新聞社で構成するグループを事業候補者に特定した。提案価額(市有地購入価額)は149億8000万1394円。

◆栄の新たなランドマークに
 中部日本ビルディングと中日新聞社が新中日ビルの建設に向けて、既設の解体工事を進めている。20年度内に解体工事を終え、新ビルの建設工事に着手。24年度の完成を目指している。

中日ビル完成イメージ(提供:中日ビル社)


 新ビルの規模はS一部SRC造地下4階地上31階建て塔屋2層延べ約11万3000㎡。地下1階-地上3階に商業、6階にホール(約600席)、7階に屋上広場、9-22階にオフィス、23-31階にホテル(約250室)。地下2-3階に駐車場(約220台)、地下4階に地域冷暖房施設(DHC)を配置する。

 建設地は同市中区栄4の敷地6857㎡。設計・監理、施工は竹中工務店。プロジェクト・マネジメント(PM)支援は三菱地所、CMは三菱地所設計が担当。

◆完成目標は29年
 名古屋三越栄店(名古屋市中区栄3)のテナントビルを運営するオリエンタルビル(同市)は、同店の新たな複合ビルへの建て替えを予定する。高さは名古屋テレビ塔と同等の180mで、完成目標は29年。規模は地下4階地上34階建て延べ約13万㎡。

三越栄店新ビルのイメージ (提供:オリエンタルビル)


 現施設(RC造地下3階地上9階建て延べ約7万6600㎡)は、名古屋三越の前身「オリエンタル中村百貨店」が開業した1954年に完成。耐震改修工事は実施済み。

 今後、三越や他の地権者との協議を進め、合意を得た上で計画を固める。

◆南エリア再生も控える
 また、Park-PFI(公募設置管理制度)を導入した久屋大通公園北・テレビ塔エリア整備運営事業の工事が近く完了する。飲食や物販などの店舗約35店が出店する。

 事業者は三井不動産グループ。北エリアに平屋一部2階建て延べ約2000㎡、テレビ塔エリアに2階一部平屋建て延べ約5400㎡の施設を配置、合計1万㎡の敷地に5つの広場と1つのテラスを整備した。新拠点の名称は「ヒサヤオオドオリパーク(Hisaya-odoriPark)」で、9月18日にオープンする予定だ。

Hisaya-odori Parkイメージ


 残る同公園南エリアの再生については、久屋大通再生有識者懇談会南エリア検討部会(座長・堀越哲美愛知産業大学長)が地域版Park-PFI導入などの方向性を示す「久屋大通のあり方(南エリア部分)提言」を作成。ことし3月26日、市本庁舎で堀越座長が河村たかし市長に提出した。

 市は観光文化交流局が南エリア内に整備を求める「多目的アリーナ」なども念頭に、20年度以降に再整備プランを作成する。

 対象地はオアシス21の南側(錦通)から若宮大通までの約4.7ha。同地を4つのゾーンに分け、国土交通省が推進する居心地が良く歩きたくなるまちなかの形成「WE DO」の理念などをもとに、安心・安全な空間の創出、魅力的な景観の形成、公園・沿道の一体化、地上と地下の連続性強化などを図る。

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