【経済と交流の舞台創出へ】「せんだい都心再構築プロジェクト」"杜の都"表玄関の未来とは  | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【経済と交流の舞台創出へ】「せんだい都心再構築プロジェクト」”杜の都”表玄関の未来とは 

 東北の中枢都市・仙台市の陸の玄関口とも言えるJR仙台駅前地区への新たなにぎわいの創出に向けて、同市は「せんだい都心再構築プロジェクト」に着手した。この10年来、仙台都心部でまちづくりのネックとなっている課題の解決につながるのか。同プロジェクトとこれに関連する動きを紹介する。

仙台駅西口地区。手前がEDEN、奥が旧さくら野仙台店


 JR仙台駅西口地区は、繁華街につながる表玄関として、“杜の都・仙台”の顔となっているが、2009年末に閉館した仙台ホテル跡地には現在、暫定利用を前提とした低層商業施設「EDEN」が立地し、隣接地も商業ビル解体後は平面駐車場になっている。

 また、市街地のメインストリート・青葉通りを挟んで向かいに位置していた「さくら野百貨店仙台店」も17年2月の閉店後、既存施設が放置されたまま現在に至っているなど、一等地である仙台駅前の大規模用地が未利用・低利用な状態となっている。

 同プロジェクトは、こうした状況を踏まえ、東日本大震災からの復興の次なるステージを目指して、経済活動と交流の中心的舞台として、都心部を再構築することを目的に展開する。

 支援の主なメニューは▽市街地再開発事業の助成額上限を総事業費の「18%」から「25%」に引き上げる▽補助率を対象事業費の「3分の1」から「3分の2」に改める▽事業計画の都市貢献評価項目に追加する「高機能オフィスビル」の要件を満たすことで容積率を最大「800%」から同「1600%」に緩和する–などで、昨年10月に施行した。

 仙台駅西口地区のうち、旧さくら野百貨店仙台店跡地については、敷地の約8割を所有するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)が、「せんだい都心再構築プロジェクト」の活用を視野に入れながら、再開発ビル2棟の建設計画に取り組んでいる。構想では、商業施設やホテル、オフィスなどで構成し、建物の高さは150m、規模は最大11万㎡を想定している。

さくら野跡地に開発する複合ビル完成予想


 PPIHは、事業の実現に向けて他の地権者や市と協議を進めており、順調にいけば21年秋にも準備組合を設置し、23年秋の都市計画決定を経て24年度の着工、27年度の完成を目指す。
 設計・コンサルタントは久米設計、開発コンサルタントはオーバ・プランニング(浜松市)がそれぞれ担当している。

 一方、仙台ホテル跡地には、オリックス不動産が暫定利用を前提とした低層の複合商業施設「EDEN」を整備。隣接地に建てられていた商業ビルも解体され、現在は平面駐車場となっている。

 街の顔となるべき都心の一等地の一体的な高度利用が強く求められている中、仙台市が取り組む新たなプロジェクトには、地域の活力となるこうした再開発事業などの円滑な推進を後押しすることが期待されている。

 同プロジェクトの第1号案件には、NTT都市開発が青葉区中央4-10の敷地約0.3haに建設を予定している「(仮称)NTT仙台中央ビル」が指定された。

 計画では、17年に閉鎖した仙台中央ビルを建て替え、産学官連携組織「光科学イノベーションセンター」などが東北大青葉山キャンパス内に整備を進めている次世代放射光施設との連携を見据えた複合ビルとして整備する。

 当初の構想では規模が16階建て程度で、延べ床面積は約2万4000㎡を想定していたが、NTT都市開発では容積率緩和の指定に向けて市と都市計画提案の事前協議をしている。指定を受けた場合、容積率は現行の2倍となる1200%まで緩和されることから、最大で19階建て延べ約4万㎡規模への変更を検討する見通しだ。設計は久米設計が担当しており、21年度の着工、23年度の完成を目指す。

仙台駅西口周辺図

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