【業務効率化に成果】北九州市が建設現場での"遠隔臨場"試行中 新型コロナ感染防止にも期待 | 建設通信新聞Digital

4月24日 水曜日

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【業務効率化に成果】北九州市が建設現場での”遠隔臨場”試行中 新型コロナ感染防止にも期待

 北九州市は、建設現場での「遠隔臨場」に6月から取り組んでいる。請負金額が1000万円以上の土木工事のうち受注者が希望する工事が対象で、6月22日時点で11件の申し出を受け付けている。同市による遠隔臨場の様子を取材した。

監督員が事務所でインターネットを通して検査する


 市上下水道局発注で、宮本建設工業が施工する「沼南雨水幹線(その5)管渠築造工事」を対象に4日、遠隔臨場を実施した。同工事は2011年度に事業着手した沼南雨水幹線事業の最終工事区間となり、推進工個所を含む長さ72.85mの雨水管を整備している。

 同局東部工事事務所下水道課下水道第2係の上永勉也主査と、約10㎞離れた現場にいる現場代理人の松永季大氏とでインターネットによる双方向通信を構築し、松永氏がスマートフォンで撮影する現場の様子をもとに検測や確認を実施した。

 同工事の遠隔臨場は今回で3回目。6月に実施した1回目はボックスカルバートの製品検査、7月の2回目は推進工の発進立坑の矢板の検尺と根入を確認した。

 この日は、発進立坑の地盤を固める薬液のゲルタイム計測と、実際の薬液注入を対象とした。ゲルタイムの計測では薬液配合後、上永主査が容器をひっくり返すよう指示し、固まっていることを確認。薬液注入では打ち込むパイプの検尺や送圧などを計測した。上永主査は状況に応じて「近接してください」などと指示し細部を確認していた。検査を通してスクリーンショットで4枚の写真を保存し、今後、検査書類としてとりまとめる。

 遠隔臨場に立ち会った市技術監理局技術部検査課の宮崎賢一検査管理係長は「現場までの往復時間を削減でき、午前9時や午後5時の開始など職員の移動を考慮せずにスケジュール設定できるようになった。受発注者の業務効率化につながっている」と手応えを持つ。松永氏も「新型コロナウイルスの感染防止も期待される。市全体の工事に対象が広がれば」と期待している。

 市の遠隔臨場は「段階確認」「材料検収」「立会」の監督業務について、実施回数を工事1件につき3回以上6回以下とし、受発注者の協議で決める。使用機器はスマートフォンに限らず、ウエアラブルカメラやタブレットなどのモバイル端末も使える。達成状況に応じて工事成績評定の「創意工夫(働き方改革)」で1点加点する。達成できなくても減点はない。21年3月までを試行期間とし、21年度以降に本格実施するか決める方針だ。

画面を通じて検測・確認

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