【オフィス一部移転も視野】横浜市がウィズコロナ見据え企業誘致 都心など3500社に意向調査 | 建設通信新聞Digital

4月25日 木曜日

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【オフィス一部移転も視野】横浜市がウィズコロナ見据え企業誘致 都心など3500社に意向調査

 新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、経済や人が集まる東京一極集中の是正がこれまで以上に叫ばれる中、横浜市では、都内企業の誘致に一層力を入れる。“ウィズコロナ時代”や“コロナ後の社会”のオフィス分散化の動きを見据え、企業の一部拠点移転なども視野に入れているもようだ。都心5区などに本社がある企業3500社に、働く場のあり方などを問う調査を実施する予定で、その結果を誘致につなげる。

みなとみらい21地区


 コロナ禍のいま、リモートワークなどの新しい働き方が広がる一方で、やはりオフィスは必要だという声も出てきている。企業は、働く場のあり方を模索しており、実態は個々に異なる。そこで市は、アンケートを実施し、都心企業の拠点移転の意向や働き方・働く場の現状を把握する。少しでも都外へ移転を考えている企業があれば、横浜市も選択肢の1つとして認知してもらえるようにPRし、市内への立地を目指す。

 市の企業誘致担当者は「市内から毎日約40万人が、都内へ通勤する」と前置きし、「例えば、ある都内企業のオフィス面積を100とみた時、30を横浜に移すということが、通勤による感染リスクの低減につながるかもしれない」と全面移転の可能性だけでなく、一部移転も想定する。

 市は、2004年度から本格的に企業誘致を進めてきた。助成制度の充実やオープンイノベーションに取り組む企業などへのサポート、スタートアップ支援にも力を注いでいるほか、都内に横浜への企業誘致を進める専門部隊の事務所を構えるなど、積極的な活動を展開している。

 直近では、いすゞ自動車が都内から本社を移転する予定だ。資生堂や村田製作所、AGCなど大企業の研究所新設も進むなど、誘致の効果が出ているといえる。

 誘致担当者は、これまでの成果について「立地条件の良さやビジネス環境、助成制度だけでなく、誘致に対する熱意も評価してもらえたのでは」と分析する。

 市は、企業誘致の取り組みが、関内地区や新横浜駅周辺地区の活性化にもつながる未来図を描く。

 みなとみらい21地区にほど近い関内地区では、旧市庁舎跡地などで民間による複数の大規模開発が計画中だが、地区全体で老朽化した小規模ビルの存在が目立つ。

 JR新横浜駅周辺では、19年11月に相鉄線とJR線が相互直通運転を開始。3月には、高速神奈川7号横浜北西線が開業するなど、交通の利便性が向上している。ただ、新横浜駅には東海道新幹線ののぞみとひかり全車が停車するものの、08年に駅直結の高層ビル「新横浜中央ビル」がオープンして以来、大規模な開発は進んでおらず、まちの様子は長い間変わっていないという。

 コロナにより働き方や働く場のあり方に変化が生まれ始めた現在、東京以外の都市や地方にとっては、企業に対し、拠点の立地を促すチャンスとなるかもしれない。

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