【記者座談会】8月30日から「防災週間」スタート、9月1日は「防災の日」 | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

公式ブログ

【記者座談会】8月30日から「防災週間」スタート、9月1日は「防災の日」

A 30日から「防災週間」が始まり、9月1日には「防災の日」を迎えるね。
B 2019年は、千葉県などに猛烈な風と雨をもたらした9月の台風15号、中部・関東・東北に大きな被害をもたらした10月の台風19号など災害が多かった。特に広域的な豪雨災害が印象に残っている。
C ことしも「令和2年7月豪雨」では、梅雨前線が長期間停滞し、暖かく湿った空気が流れ込み続けたため、西日本から東日本にかけて広い範囲で記録的な大雨となり、大きな被害をもたらしたことは記憶に新しい。7月上旬に観測された降水量は、1982年以降の値と比較可能な全国964のアメダス地点の合計が、これまでの最多だった「平成30年7月豪雨」の記録を超えた。対象地域でも1時間降水量50mm以上の激しい雨が発生した回数も、これまで最多だった「令和元年東日本台風(台風19号)」の記録を超えた。
D 最初は熊本県の大きな被害が心配されたが、東海や東北地方でも1時間降水量が100mmを超えるなど、史上1位の雨量を観測した。浸水被害や土砂災害が、熊本県からどんどん広域に広がっていき、ある地域の建設会社社長も「どこに支援に行くのが適切か、すごく迷った。しかも、気づけば自分の地域も被災する恐れがあり、応援に出るに出られなかった」と振り返っていた。
B 本当にことしは、全国の至るところで線状降水帯が発生し、しかも1カ月におよぶ長雨となった。東京では7月に太陽が見えたことがほとんどないと言っても良いほどで、まさに記録的な日照不足と低温だった。
C 大雨が多かった一方で、実は7月には台風の発生がなかった。これは51年の観測開始以来、初めてのこと。1月から6月までの上期でも2個だけで、平年に比べて発生数は少ない。

復旧が進む西瀬橋(熊本県人吉市、7月30日撮影)。災害対応・復旧には地域の総力を結集する必要がある

◆災害の広域化、感染症で応援難しく

B 台風と無縁の7月から一転、実は8月1日には、2つの台風がほぼ同時に発生するなど、今週に沖縄方面を襲った台風を含め8号に達している。連日の猛暑を招いている強烈な太平洋高気圧のおかげで幸いにも本州には近寄らないけど。日本近海の海面温度は高まっており、9月以降の本格的な台風シーズンになれば、より強い勢力を保ったまま列島に接近・上陸するケースが増えることは十分考えられるので、気を引き締めておかなければならない。
D 気を引き締めると言っても、地域の建設業はいま、新型コロナウイルス感染防止対策で、なかなか県を越えた応援が難しい。被災時には、やはり地元の建設業界が踏ん張る必要がある。せっかく災害時に地域を越えて地域建設業同士が応援し合う『建設共助』の仕組みが確立されつつあったのに、何とももどかしい思いだ。
E 24日には、国土交通省関東地方整備局荒川下流河川事務所と近畿地方整備局姫路河川国道事務所が、それぞれ地元自治体などと「流域治水」実現のための協議会を立ち上げた。あらゆる関係者が役割を担う「マルチステークホルダーパートナーシップ」を強化し、地域が総力を挙げて災害に対応する仕組みの早期確立が求められる。
F ゼネコンも、防災週間にあわせて各社が一斉にBCP(事業継続計画)訓練を実施する。例年、新しい課題を加えながら各社が実施しているが、今回は、感染症流行時の災害を想定した訓練がキーワードになるだろう。難しい課題だが、どういった工夫をするのか、注目してみたい。

建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら