オートデスクは、米国の調査会社International Data Corporation(IDC)の協力のもと、日本も含む世界12カ国の建設業835社にデジタルトランスフォーメーション(DX)に関する調査を実施した。オートデスクはその調査結果をもとにオンラインセミナーを開催。講師を務めたオートデスクの濱地和雄AECセールスディベロップメントエグゼクティブとIDCの日本法人IDC Japanの寄藤幸治リサーチバイスプレジデントに話を聞いた。
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濱地氏は、調査結果で日本の建設会社の78%がDXは優先事項であると認識しているものの50%の企業でデジタル化が膠着していることから、「企業としてデジタルを当たり前に活用するデジタルネイティブ企業になるためのロードマップが必要だ」と指摘した。
さらに、DXに取り組むに当たっては「コスト削減や生産性向上、時間短縮など、DXによって成し遂げたい目的について経営層のコミットメントが必要。何か新しいことを始めるだけでなく、従来の取り組みのスリム化・最適化といった視点も重要だ」と述べる。
濱地氏とともに講師を務めた寄藤氏は、DXの要点を▽ビジネスプロセスの変革▽ビジネス価値の創出、企業としての競争力の強化▽第3のプラットフォーム、イノベーションアクセラレーターの活用▽データの活用――と整理し、中でもデータの活用が重要であり「データを活用してビジネスのやり方を変えていくことがDXの中心になる」と強調する。
「DXという言葉が普及し始めた頃はAIやクラウドなど話題のテクノロジーを導入することそのものがDXだという考え方も多かった」と振り返り、一方で昨今は「全社的な仕事のやり方や組織文化を変えていこうとする考えが広まってきている。大手ゼネコンの中期経営計画などにもデジタルに関する取り組みが盛り込まれ、経営課題として考えられるように変わってきた」と状況の変化を感じ取っている。
「建設業に限らず日本のものづくりの強みは現場にある。ただ、労働力不足が課題となる中で現場だけにその強みを任せておいて良いのか、という問題もある。データを上手く活用して、全社的にビジネスプロセスを変えていくことが、様々な課題に直面している建設業では重要になるのではないか」と語った。