【"リデザイン"の必要性を共有】環境省がコロナ・気候変動対応へ向けオンライン国際会議開催 | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

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【“リデザイン”の必要性を共有】環境省がコロナ・気候変動対応へ向けオンライン国際会議開催

 環境省は、新型コロナウイルス感染症と気候変動への対応をテーマに設定し、気候変動枠組条約締約国の閣僚級らが議論するオンライン・プラットフォームを立ち上げ、9月に初会合を開催した。参加した96カ国・地域が、感染症と気候変動という世界が直面する2つの危機を乗り越えるには、持続可能で強靱な社会経済へ「リデザイン(再設計)」する必要があるとの認識を共有した。その実現に向け、各国・地域が連帯して取り組む姿勢を明確化した。

 感染症の拡大に伴って延期した第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)が、2021年11月に開かれるまでの情報共有や意見交換を目的に、小泉進次郎環境相の発案でオンライン・プラットフォーム「PLATFORM for REDESIGN 2020」を立ち上げた。環境省によると、96カ国・地域の参加は、19年12月のCOP25以降に開催された閣僚級のオンライン会合としては最大規模という。

 国連の気候変動枠組条約事務局と共催した会合では、小泉環境相が全体議長を務めた。小泉環境相は、「コロナ禍からの復興に当たっては、従来の経済社会に戻るのではなく、より持続可能でレジリエントなものへと変革する、経済社会のリデザインが不可欠」と指摘。リデザインに向けては、▽脱炭素社会▽循環経済▽分散型社会–への3つの移行が基軸になると説いた。

■脱炭素化へうねり
 また、温室効果ガスの排出量が多い石炭火力発電の政策を転換し、石炭火力発電所の輸出を支援する際の要件を厳格化した日本政府の取り組みを報告。50年までに温室効果ガスの実質排出ゼロを目指すと宣言する地方自治体が約150団体に上り、その人口規模は7000万人を超え、日本国内で脱炭素化のうねりが不可逆的なものになっていることも紹介した。

 気候変動の閣僚級会議で日本が議長を務めるのは、京都議定書が採択された1997年のCOP3以来。COP26に向けた気候変動分野の機運維持に加え、この分野で国際的なルールが今後検討される際、日本にとって不利益なものとならないように、国際的な影響力を高める狙いもある。

 会合終了後に環境省が取りまとめた議長総括には、3つの移行が重要との考え方が盛り込まれた。脱炭素社会への移行に向けては、世界的な経済活動の停滞でCO2排出量が一時的に減少したものの、景気回復によって排出量が増加したリーマンショック後と同じ轍(てつ)を踏んではならないと指摘。再生可能エネルギー活用の拡大や水素の社会実装などによるエネルギー分野の脱炭素化と、工業・家庭分野でのエネルギー消費プロセスの脱炭素化に取り組む必要があるとした。

■環境、経済の好循環実現
 循環経済への移行に向けては、廃棄物の循環利用・適正処理の推進や企業による資源循環の取り組みの加速化など、経済復興と気候変動対策・環境保全施策の両方を進め、環境と経済の好循環を実現することが重要と明記した。

■分散型社会に移行
 新型コロナウイルス感染症は、一極集中型社会の限界をあらわにした一面もあるとして、今後は社会経済システムを再構築して分散型社会に移行する必要性を共有した。

 会合では、アントニオ・グテーレス国連事務総長がビデオメッセージを寄せた。その中で、「パリ協定の目標を達成するためには、世界の温室効果ガス排出量を30年までに半減させ、50年までには全世界でカーボンニュートラルを達成しなければならない」と強調し、日本を含む各国に対して50年までのカーボンニュートラル達成を国際社会に約束するよう強く要請した。

 合わせて、「日本は海外の石炭火力発電に対する支援に終止符を打った」と、日本政府が石炭政策を転換したことを称賛。「日本は多くの分野で技術的発展を先導してきた。持続可能で強靱な復興においても、日本がリーダーになることができる」と述べ、世界が歩調を合わせた社会経済のリデザインに向け、日本が引き続きリーダーシップを発揮することに期待を寄せた。