【立入困難でも撮影可能】護岸点検をドローンとAIで効率化 八千代エンジとACSLが実証実験 | 建設通信新聞Digital

4月24日 水曜日

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【立入困難でも撮影可能】護岸点検をドローンとAIで効率化 八千代エンジとACSLが実証実験

 八千代エンジニヤリングは、自律制御システム研究所(ACSL・東京都江戸川区、鷲谷聡之社長兼COO)と自律飛行可能なドローンを使った河川護岸の劣化点検に関する実証実験を横浜市の鳥山川で実施した。人が近接正対して撮影できない個所を効率的に空撮できるとともに、取得した点検画像をもとに、八千代エンジニヤリングが開発したAI(人工知能)によるコンクリートの劣化診断ができるなど、従来の人による点検を効率化できることを確認した。両社は今後もドローンによる空撮とAIの画像解析による効率的な護岸点検の実用化に向けた検討を進め、全国の河川護岸の劣化点検への展開を目指す。

鳥山川でのドローン自律飛行の様子。人が近接正対で撮影が難しい場所での撮影に成功した


 八千代エンジニヤリングは、横浜市とともにドローンによる空撮とAIの画像解析による効率的な護岸点検を目的に「河川管理の効率化に向けた共同研究」を2018年12月から進めている。今回はAIによる画像解析に最適な護岸の近接等距離正対空撮画像撮影のため、非GPS(全地球測位システム)環境下でも自律飛行可能なACSLの小型ドローンMiniを使用し、6日に実証実験した。

 実験では、人が容易にアクセスできない個所に加え、GPSの精度が低下するコンクリート三面張り護岸でもVisual SLAM技術で自己位置を推定して点検画像が取得できることを確認。AIによりコンクリートのひび割れや目地開きなどの劣化診断も可能であるという結果が得られた。

 河川護岸の点検や劣化診断評価は国土交通省の要領に則り、点検技術者による近接目視点検を前提としているため、管理区間が長くアクセス困難な個所も多い都市河川では膨大な手間を要したり、 点検技術者の経験や技量によって調査結果にばらつきが出るなどの課題もある。 自律飛行可能なドローンとAIによる効率的な護岸点検を実用化することでそうした課題解消につながることが期待される。

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