【長距離無線で手間解消】トンネル坑内計測を効率化 大成建設が新システム「T-RIPPA」開発 | 建設通信新聞Digital

4月27日 土曜日

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【長距離無線で手間解消】トンネル坑内計測を効率化 大成建設が新システム「T-RIPPA」開発

 大成建設は、山岳トンネル工事における坑内での計測作業を省力化する新たなトンネル坑内計測システム「T-RIPPA」を開発した。通信ケーブルを使用することなく、長距離・広範囲での無線通信を可能とする「LPWA無線通信」を活用している点が特長。通信機器の移設や増設といった盛替え作業の手間を省けることから、計測作業の効率化に役立つ。

従来方式との比較


 事前の調査だけで完全に地山情報を把握することが困難な山岳トンネルの施工にとって、掘り進めていく過程でトンネルの変形の有無や周辺の岩盤状況をリアルタイムに把握して、施工に反映するための「坑内計測」が重要である点に着目。工事の進捗に合わせて通信機器の移設や増設といった盛替え作業が必要だった従来の計測手法の課題を解消した。

 1㎞を超す長距離・広範囲での通信が可能な「LPWA無線通信」を活用することで“ケーブルレス”の効率的かつ合理的なトンネル坑内計測システムを構築した。

 実際に1㎞以上の長距離のデータ伝送が可能な「LPWA無線通信」によって、これまで必要だった通信機器の移設や増設の手間を低減。LPWA無線通信モジュールとアンテナ、計測機器を一体化した筒状の装置をトンネル上部に仕込むだけで、通信ケーブルがなくても安定したデータ計測が可能となる。

 計測データは無線データの受信装置(ゲートウェー)を介してクラウドサーバーに集約。ウェブアプリケーションでリアルタイムにグラフ化される。インターネット環境を整備すれば、現場事務所や遠く離れた本社から計測データを遠隔でモニタリングできるというメリットもある。

 同社が施工する国内の山岳トンネル工事(2現場)での運用によって長期にわたる通信安定性などを検証。 多くの時間と手間を要していた計測作業の効率化や省力化によって生産性アップに対する効果を確認した。

 無線通信による計測データの取得によって、データ回収のための現場への移動時間の削減や、データ分析に要する作業時間が短縮されることから、計測担当者の作業効率の向上に対する効果も確認できているという。

 LPWA無線通信を活用したトンネル坑内計測システム「T-RIPPA」は、28日から30日に幕張メッセで開催されている「AI・業務自動化展」でも紹介されている。

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