【スマート生産ビジョン】鹿島が現場のデジタルツインを実現 2024年度までに全件導入めざす | 建設通信新聞Digital

5月7日 火曜日

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【スマート生産ビジョン】鹿島が現場のデジタルツインを実現 2024年度までに全件導入めざす

 鹿島は、「HANEDA INNOVATION CITY」(HICity)の施設運用ツールとして導入したリアルタイム現場管理システム「3D K-Field」を使って建設現場のデジタルツインを実現する。既に5現場で試行導入しており、2020年度内に15現場程度、同社の『スマート生産ビジョン』の目標年度である24年度までに全建築現場で導入を目指す。

現場での利用状況


 「3D K-Field」は、現場の作業員や資機材にビーコンなどを取り付け、現場内にゲートウェー(受信機)を設置することで、BIMモデル上に人や資機材の動きを反映させてリアルタイムで建設現場の状況を可視化できる。マルティスープ(東京都千代田区、那須俊宗社長)とアジアクエスト(同、桃井純社長)と共同開発した。現場内でのセンサー設置などは、20年4月に本格的に業務を始めた子会社「One Team」(東京都港区、伊藤仁社長)が担当する。

 センサーやビーコンで取得したデータは、サーバーにアップロードされ、3D K-Fieldにデータを反映させて3Dで表示する。ゲートウェーは現場内の仮設電源などに取り付け、ビーコンは作業員のヘルメットや高所作業車・脚立などの資機材・車両に設置する。資機材などの動きを捉えて稼働状況を把握できるようにする。作業員の位置把握については、現在開発中の「鹿島専用スマホ」を渡すことも検討している。

 これにより、現場を遠隔地で監視・管理できるだけでなく、新型コロナ対策として、作業員の密集状況を把握して配置を改善するといったことも対応できる。検知リストから検索も可能で、使用していない機材を特定して別の作業に転用するなど、仮設機材の過剰な投入を防げる。高所作業車やフォークリフトの稼働率を基に、余剰機材の導入抑止やレンタル機材の返却など、コスト削減にもつながる。

 仮設エレベーターにビーコンを付ければ、稼働状況を踏まえた円滑な現場内移動も実現できる。資機材や作業員の動きはすべて記録して再生可能で、フロア内の移動が激しい個所や物の動線などの改善検討にも役立つ。新型コロナの感染者が出た時の行動履歴確認にも活用できる。

 ウェアラブルデバイスによって作業員一人ひとりの健康状態を把握し、異常数値を示す装着者を画面上部に表示するため、体調不良者の早期発見にもつながる。セーフィー社のウェブカメラと連動すれば、現場の映像を画面上で確認できる。現場配置図の作成も可能で、1フロアずつ平面図で示していた危険個所や立入禁止区画なども確認しやすくなる。

 伊藤仁常務執行役員は「現場に導入したシステムを施主に見てもらい、効果を実感してもらうことで完成後の施設管理の活用につながれば」としている。

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