【深化する関西の建設ICT⑧】応用技術 ユーザーと成長する『BooT.one』 | 建設通信新聞Digital

5月9日 木曜日

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【深化する関西の建設ICT⑧】応用技術 ユーザーと成長する『BooT.one』

 BIMの導入拡大を背景に、応用技術(大阪市)のBIM支援パッケージ『BooT.one(ブート・ワン)』が進化を遂げている。BIMソフト『Revit』を効果的に使いこなす下支え役のツールだが、ユーザーの中には情報共有の基盤として位置付ける動きも出てきた。ブート・ワン事業を統括する同社執行役員toBIM推進部長の高木英一氏と、テクニカルディレクターを務める高取建築情報化コンサルティング代表の高取昭浩氏に、現在地と今後の方向性を聞いた。

――発売から1年半
 高木 販売数は順調に伸び、複数本の導入が目立つようになっている。ユーザーの中には社を挙げてBIMを導入する動きが数字に表れている。顕著なのはゼネコンの準大手・中堅クラス。ライセンス数全体の半分弱を占める。生産性向上の手段にBIMを位置付け、情報共有を図る手段としてブート・ワンを活用している。

高木執行役員toBIM推進部長


 高取 準大手・中堅ゼネコンのBIM導入意識は特に高まっている。BIMを武器に現場の省力化や生産性向上につなげたいと前向きにとらえ、本気でBIMと向き合っている。自分で手を動かし、効率化しようという前向きな企業とBIMは相性が良い。

 高木 まさに準大手・中堅ゼネコンはBIMを自分たちのものにしようとしている。中でも美保テクノスや矢作建設工業はブート・ワンを軸にBIM導入を進める代表的なユーザー企業と言える。

――活用の仕方は
 高取 BIMのやり方は各社異なり、ブート・ワンの使い方もユーザーごとに特徴がある。重要なのは自らの事業スキームや生産の進め方に沿って導入することだ。ブート・ワンは支援ツールであるだけに、企業の成長に合わせて活用方法も進化していく。

高取テクニカルディレクター


 高木 ユーザーの困り事を解決するコマンドツール数はこの半年で30項目ほど追加しトータルで250項目に近づいている。ユーザーの声を開発に反映させるリクエストボードには日々数多くの相談や提案がくる。優先度が高いものから実装している。最近は設備系BIMソフト『Revit MEP』の導入拡大が著しく、設備系のコマンド開発に力を入れている。

 高取 設備分野は設計時の決まり事が多い。Revitは単なる製図用CADと違い、一緒に設計を進めてくれるような能力があり、より早い段階から導入した方が恩恵を受けやすい。ブート・ワンもその思想をくんでおり、より川上から効果的にデータを活用できるような流れで設計している。意匠、構造、設備の統合モデルでも円滑に干渉チェックできる。

 高木 MEPは細かな設定を前提にしているが、きちんと綺麗に設定できれば、とても効率的に設計ができる。設定をより簡易化するのがブート・ワンの役割でもある。現在は関連する14コマンドを用意し、サポート体制も充実させている。

――開発の方向性は
 高取 設計系が一段落し、いまは設備系と施工図系に力を注いでいる。データが円滑に流れる枠組みの部分から順に整える。この秋には施工系パッケージをリリースする。仮設計画も含め施工系全般に力を入れる。デジタルデータを現場が使えるようになると、どういう効果が期待できるかを体感してもらいたい。

平面詳細図編集


 高木 BIM導入のトレンドは施工段階の動きがより顕著になる。設計から施工への一貫したBIM導入の流れを整えたいとの機運も着実に高まっている。本当のBIMをやりたいという意識の表れだ。協力会社のRevit活用も増え、それがブート・ワンの利用にもつながっている。

 高取 目的を持ったBIMでなければ、その効果を得られない。会社を挙げて取り組むことが重要であり、各部門が連携することが前提だ。それにブート・ワンはきちんと応える。BIM導入には社内のみんなで一緒にやるという意識共有も大切だ。

 高木 ユーザーの声を開発にフィードバックしている。たくさんの要望や提案をもらうことは、われわれにとって幸せなこと。ユーザーは大切なパートナーであり、一緒に作り上げる共同開発者でもある。ユーザーとともに、ブート・ワンは成長し続ける。

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