【深化する関西の建設ICT⑨】美保テクノス 全部門の関係者が情報共有 | 建設通信新聞Digital

5月17日 金曜日

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【深化する関西の建設ICT⑨】美保テクノス 全部門の関係者が情報共有

新田氏

 美保テクノス(鳥取県米子市)は設計から施工、維持管理までをワンモデルでつなぐBIMのトライアルプロジェクトに挑んでいる。BIMソフト『Revit』を導入する中で、2019年10月から情報共有の基盤にBIM支援パッケージ『BooT.one(ブート・ワン)』を位置付け、社内システムを構築してきた。BIM戦略部の新田唯史部長代理は「ことし春に基盤が整い、ワンモデルでつなぐ一貫したBIMの活用に向け、実プロジェクトでの運用を始めた」と明かす。

 同社がRevitを柱とした統合型BIMの構築に着手したのは18年。事業戦略としてBIMを体系的に位置付けた。新田氏が中心になり、社内の各分門から選抜された24人でBIM戦略プロジェクトを発足し、今後の方向性を固めた上でBIM戦略部の発足に至った。設計、施工、営業、メンテナンスの各部門がBIMを軸に情報共有を進める基盤として、ブート・ワンを軸に置くことを決めた。

 ことし春には「プロジェクトの情報が全部門の関係者に展開できる」ベースとなる枠組みが整い、タイミングよく動き出したサービス付き高齢者向け住宅プロジェクト3件でワンモデルBIMに取り組むことを決めた。新田氏は「設計段階ではより細かくモデリングをしてきた成果が図面出力の効率化となって返ってきた。設計チーフへの負担も軽減でき、全体を通して大幅な生産性向上につながった」と振り返る。

 現在は3件とも施工図作成のフェーズに入っており、順調に工事が進めば、来春にも順次竣工を迎える。既に維持管理段階のBIM活用準備にも取り組んでおり、ブート・ワンを介してFMソフトに情報を共有する計画。今秋に発売される施工系パッケージも導入予定で「施工段階に正確なモデルを作成、共有できれば、そもそも図面は必要なくなる」との思いも持っている。

3件のワンモデルBIMにチャレンジ

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