【記者座談会】21年3月期第2四半期決算出そろう | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

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【記者座談会】21年3月期第2四半期決算出そろう

A 大手・準大手ゼネコンの2021年3月期第2四半期決算が出そろったね。
B 多くの企業が減収・営業減益となった。売上高や利益は、過去に受注した工事の結果なので、前期、前々期あたりから需要が端境期に入って受注が減少気味で、首都圏のシンボル的な大規模プロジェクトでは激しい競争が起きていたことを反映している。ただ、単体の完成工事総利益で見れば、15社が2桁を維持しており、建築も含めておおむね横ばいといえる状況で、手持ち工事の採算性などは悪くなかった。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で若干、工事進捗に影響があったようだが、非常に限定的だった。
C 一方で、先行きはかなり厳しいといえる。17社の単体受注が前年同期比減で、7社は20%を超える減少となった。前年同期の状況や上期の受注活動の状況にもよるが、コロナ禍で民間プロジェクトが期ずれ・中断・中止した影響が直撃したことは間違いないだろう。先行き不安から、既に競争が激化しているという声も多い。
B 現実に地方の目玉プロジェクトでは大手、準大手、地場ゼネコンが三つどもえで激しい競争が起きている。このままでは、建設業界の魅力を大きく低下させる原因となった下請け・技能者へのしわ寄せが起きかねない。
D 各社からは「かつての教訓を踏まえ採算度外視での受注はしない方針を堅持している」という声も上がっているので、その自制心に期待したい。ただ、各社の支店レベルでは受注目標を抱えており、先行き不安の中で達成に向けて価格・工期での競争に参加したくなる誘惑もあるだろう。トップが採算割れの競争をしない強い意志を示して支店レベルまで浸透させることが重要ではないか。

地方の目玉プロジェクトでは大手、準大手、地場ゼネコンによる激しい競争が起きている

◆電気設備 情報通信工事の受注が増加

A 設備工事企業はどうか。
E 電気設備工事大手5社のうち、受注高が前年同期実績を上回ったのは2社で、3社が下回った。売上高は5社とも減収だった。屋内線などの一般電気設備工事は、新型コロナの影響によって受注を減らしたものの、逆にニューノーマル対応にもなる情報通信工事が増加している。
F 空調設備工事上場大手6社の連結受注高は、三機工業だけが前年同期実績を上回り、5社は下回った。業績面では2社が減収増益、4社が減収減益だった。情報通信設備工事大手3社の受注高は2社が増え、1社が減った。ただ、その減らした1社も受注環境は回復傾向だ。5G(第5世代移動通信システム)サービスやGIGAスクール関連、感染拡大に伴うテレワークなどによる情報通信設備の需要を取り込んだ。
A 道路舗装大手の状況は。
G 大手8社の売上高は5社が減収となった一方で、営業利益・経常利益は7社が大幅増益となった。新型コロナの影響で民間を中心に発注の遅れや中止が生じており、それが減収につながったほか、7月ごろの天候不順で工事に遅れが出たこともマイナス要因になったという。ただ、新型コロナによる世界的な経済の停滞などで、アスファルトの原料となる原油の価格が昨年よりも低下し利益率が向上しており、各社の大幅増益という結果をもたらした。減収減益となった大林道路も、通期では前期並みの売上高を確保し、盛り返すことができると見込んでいる。
A 建機メーカー大手4社の動向は。
H グローバルに事業展開する各社にとって、新型コロナの世界的感染拡大の影響は大きい。各社とも売上高は前年同期を下回った。通期業績予想についても前期比マイナスを見込んでおり、引き続き厳しい状況にある。

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