【電子地域通貨でSDGsまちづくり】コンサル社員が旗振り役に 尼崎市地域ポイント推進事業 | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【電子地域通貨でSDGsまちづくり】コンサル社員が旗振り役に 尼崎市地域ポイント推進事業

 SDGs(持続可能な開発目標)の達成をまちづくりに掲げる自治体が増える中、兵庫県尼崎市がSDGs社会の実現と地域ポイント事業を組み合わせた電子地域通貨プロジェクトをスタートさせた。「あま咲きコイン」と名付けられたこのユニークな試みは、西日本では初めての取り組みという。

 これまで市が実施してきた地域ポイントを電子地域通貨方式で統合、国連が掲げるSDGs達成に貢献する場合にポイントを付与する。システムは電子地域通貨のプラットフォーム「チイカ」を採用。利用者はスマートフォンでダウンロードしたチイカを使い、1ポイント=1円の地域ポイントを取得する。同市内の加盟店舗利用時や市が実施する特定健診や講座の受講、公共駐輪場などでもポイントを獲得できる。貯めたポイントは加盟店舗のほか公共施設でも利用可能だ。10月に運用を開始したばかりで2020年度は実証実験期間に位置付けられていることから、21年度以降の本格導入を目指している。

事業イメージ


 事業を担当する同市経済環境局の三宮直樹地域産業課長は、SDGs推進と地域ポイント施策を組み合わせた取り組みは神奈川県で事例があるものの西日本では初のケースで、全国的にもまだ珍しいと説明する。同市は総合計画の中で「総合計画を推進することがSDGs達成に向けた取り組みを推進することに資する」と位置付けるなど、SDGsを積極的に推し進めている。「地域課題解決と地域活性化に向けた取り組みをつなげることができないか」(三宮課長)との発想から生まれたのが、この「あま咲きコイン」だった。利用可能な店舗の数は、10月上旬時点で約420店舗。今後1000店舗規模まで増やしたい方針だ。「バスの利用券であるとか、将来的にはポイント使用の適用範囲も広げたい」(池田英史同課課長補佐)という。

 地域ポイント制度の統合とSDGsの推進を結び付けた人物が、18年から19年にかけて同市内で実施された「自転車マナーポイント」の発明者で国際航業インフラマネジメント事業部に所属する今田大輔氏だ。同課からのヒアリングを受け「自転車マナーポイント」の発明者で「地域ポイント制度に組み込もうとしている『保健』『環境』『エネルギー』はSDGsにつながる」と企画案を市に提出、採用された。

 10月からは「尼崎市SDGs推進アドバイザー」として、あま咲きコイン普及促進のための「旗振り役」を務めることになった。あま咲きコインの今後について「プラットフォームとしていろいろな取り組みを載せることができる。例えばSDGsポイントによる可視化であるとか将来的な政策ツールとしての活用、あるいは市の事業や市内事業者の活動をSDGsに紐づけるといったこともできないか」と今田氏は事業の可能性を強調する。三宮課長も「行政サービスの新たなかたちを探るきっかけになれば」と期待を寄せる。

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