【スムーズな施工進捗を支援】飛島建設のBIM活用 成功事例で今後の全社展開に弾み | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【スムーズな施工進捗を支援】飛島建設のBIM活用 成功事例で今後の全社展開に弾み

 BIMモデル(3次元モデル)の活用により視覚的なイメージの共有を通しスムーズな工事の進捗を支えている現場がある。飛島建設が施工を進める「福岡大学新公認室内プール(仮称)新築工事」がそれだ。成功事例の1つとして“モデルケース”に位置づけられる、この現場での経験やノウハウの蓄積が、同社の今後のBIMモデルの活用を広げていくことになりそうだ。

 太陽光パネルが乗せられた傾斜屋根とカーテンウォールの外観が目を引く、福岡大学の新公認室内プール(仮称)の規模はRC・SRC・S造平屋建て塔屋1層延べ3991㎡。基準値に沿った“ミリ単位”での精度が求められる日本水泳連盟の公認プールとして整備される。

BIM活用によって2月の竣工へ順調に工事が進む

 2019年6月の着工から約1年5カ月。立川明男所長が「ここまで順調に工事が進んでいる」と話すように現在の進捗率は8割ほど。21年2月の竣工へ、着々と工事が進む。

立川所長(左)と吉松部長


 そのスムーズな施工をサポートしてきたのが、BIMモデルの活用による視覚的なイメージの共有だ。

 建築事業本部建築DX推進部の建築BIMグループが全体の工程計画や複雑に入り組む設備の配管をBIMモデルによって可視化。最前線の“現場”を支えている。

 実際に掘削・基礎躯体工事や鉄骨工事、基礎部分での設備配管の干渉チェックなど、要所にBIMモデルを用いた施工シミュレーションを取り込むことで、視覚的に施工イメージを共有しながら、スムーズに施工を進めることができたという。

 とりわけBIMモデルの効果を発揮したのが、プールサイドの下にある設備ヤード(ピット)における配管の取り合い。ほとんどの設備を隣接する他の施設から共同溝を介して引き込んでいるため、それらの配管が複雑に入り組んでしまうといった課題があったからだ。

 その課題の解消にBIMモデルを効果的に活用。BIMモデルを使って構造的に抜ける範囲を確認しながら、ピット内にメンテナンスのために人が歩けるだけのスペースを確保することに成功した。

 建築事業本部建築DX推進部建築BIMグループの吉松公生部長は「設備との取り合いで有効に活用された点を踏まえれば、3次元で視覚的に見える化できるBIMモデルのメリットが十分に発揮されたと考えている」と話す。

 「成功事例の1つとして、若手社員に対する研修の場として活用したいという思いもあったが、新型コロナウイルス感染症への対応の観点から実現できていない」とも。

 それでも「(BIMモデルは)設計事務所や施主との打ち合わせに活用するだけでも、イメージのしやすさや理解度が違ってくるのではないか。それが打ち合わせ時間の短縮や現場の働き方改革にも結びつく」と力を込める。

 今後も「こうした現場をモデルケースにしてBIMの活用意識を会社全体に浸透させていきたい」と意気込む。

傾斜屋根とカーテンウォールの外観が目を引く

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