【宮城県内上下水道初】ISO55001認証取得のアクアネット 今後への意気込みと見据える展望 | 建設通信新聞Digital

5月8日 水曜日

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【宮城県内上下水道初】ISO55001認証取得のアクアネット 今後への意気込みと見据える展望

 宮城県内を中心に上下水道施設管理、浄化槽保守点検、廃棄物収集運搬、建設工事を手掛ける協業組合アクアネット(宮城県大崎市、佐藤政志代表理事)は9月、アセットマネジメントの国際規格であるISO55001(JISQ55001)の認証を、マネジメントシステム評価センター(MSA、藤井信二社長)から取得した。上水道包括管理業務、下水道維持管理業務において県内で初めてISO認証を取得し、「より精度の高いアセットマネジメントシステムを構築し、地方自治体に対してもさまざまな提案をしていきたい」と佐藤代表理事は意気込みを語る。上下水道関連業務を中心に手掛ける同組合の今後の展望を聞いた。

佐藤代表理事


 アクアネットは、1978年に「協業組合古川加美浄化槽管理センター」を創立したところからスタートした。

 佐藤代表理事は「97年にアクアネットと名称変更し、宮城県内を中心に活動してきた。創立当初は、浄化槽の維持管理をメインとしていたが、その後の社会・経済情勢の変化に対応し、業務範囲を拡大してきた。現在は、上下水道施設の運転管理に加えて、上水道の料金徴収も受託している。創立以来、当組合は環境に携る企業の一員として水と緑に囲まれた豊かな自然を未来へ継続させることを職員共通の認識に据え、社内外の事業活動と環境活動を通して、環境負荷の低減と環境保全の実現のため積極的に取り組んでいる」と組合の立ち位置を明確に示す。

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 現在、アクアネットは職員150人体制で、環境に携わる企業の一員として「安全で安心な環境の創造」をテーマに、技術のスペシャリスト集団としての使命感を持ち、事業活動を通して社会貢献を推進している。

 認証取得を契機に、さらに業務を拡充するにあたっての課題の1つとなっていたのが人手不足である。その人手不足解決のため人材の確保・育成に注力している。「人材育成と、組織力を維持・強化するために、定期採用を心掛けている。上下水道について初めから専門的な知識を持って入職してくる人は少ない。畑違いの人でも社内教育、OJTなどを通してスキルアップを図り、地道に人材育成を進めてきた」と語る。

 また、「災害時でも一気通貫で業務を行えることが当組合の強みといえる」ことを踏まえ、「資格については職員の自主性を重視しつつ、資格取得制度を導入し、積極的に後押ししている」という。

 ISO55001認証取得は、「活動の幅を広げるだけでなく、こうした社員のモチベーションアップにも大きな意味がある」と効果を指摘する。

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 佐藤代表理事は近年の組合の活動、業務展開状況を踏まえて、「下水道事業のノウハウを実直に蓄積してきたことが評価・信頼され、地方自治体から上水道包括管理業務を受託できるようになった。さらには建設業許可範囲の拡大を図り、管工事を始め機械器具設置工事、土木工事、電気工事、解体工事などの公共工事も受注できるようになった」と語る。

 地域の安全・安心を第一に考え、「地域になくてはならない、必要とされる企業」としての活動をさらに強化するツールとなるのが、今回の認証取得である。今後もアセットマネジメントシステムを通じて培ってきた技術を生かし、ライフラインを始めとする地域アセットの適切な管理・運営を展開していく」と明言する。

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 これまで、東日本大震災を始め気候変動による大雨や台風災害に見舞われるたびに、職員の総力を結集し復興・復旧に取り組んできた。

 「われわれは地元第一に考え、寄り添い支えられ、ここまで業務を拡大することができた。これからも地元優先という意識は変わらない。認証取得を契機に、地域に根差した活動を今後も継続・強化する」考えだ。

 通常の事業活動に加え、地域の植樹・育樹を進め、山間部の治水能力を高めるとともに、河川などを通して海にも栄養豊富な水を供給するという「水と緑に囲まれた豊かな自然を未来に」残す活動にも積極的に取り組んでいる。

 大自然を視野に、水(アクア)のネットワークづくりを進めている。

 「業界全体の信頼性向上を図ることで、地域の活性化も実現したい。そのためにも、これからは、他社との差別化に終始せず同業他社にも認証取得を促していく考えだ」と今回の認証取得を契機に、さらに積極的に活動の場を広げていく方針だ。

藤井社長から認証を受ける佐藤代表理事(右)

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