【五十嵐太郎氏が監修】『装飾をひもとく~日本橋の建築・再発見~』 21年2/21まで開催中 | 建設通信新聞Digital

5月11日 土曜日

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【五十嵐太郎氏が監修】『装飾をひもとく~日本橋の建築・再発見~』 21年2/21まで開催中

 ルネサンス様式など「様式のラベルを貼る」だけの展示ではなく、「モノそのものに語らせる展示」を目指した–。東京都中央区の日本橋高島屋「高島屋史料館TOKYO」で開かれている展覧会『装飾をひもとく~日本橋の建築・再発見~』の監修を担当した建築史・建築評論家で東北大学大学院教授の五十嵐太郎氏はそう話す。

 写真などを使いながら高島屋を中心にした建築装飾を丁寧に読み解くことで、建築の特徴を浮かび上がらせることを試みている。あわせて日本橋建築マップも配布し、周辺の近代建築そのものも展示の一環としているのがユニークだ。様式のラベルで思考停止に陥りがちな従来の建築展覧会とは異なり、新たな建築の見方ができることもあって、多くの人でにぎわっている。

 五十嵐氏によると展覧会の目的の1つは、オリンピックと同様にギリシャを起源として世界に広がり、いまも影響力を持つ古典主義建築を紹介すること。その風格を強く感じるのが、展覧会会場の高島屋史料館がある日本橋エリア。こうした様式を受け継ぐ日本銀行本店本館、三井本館、日本橋三越本店本館、日本橋高島屋本館などを取り上げている。

 さらにもう1つの目的が展覧会のタイトルにもなっている「装飾をひもとく」ことだ。こうした古典主義の建築をルネサンス様式などのラベル貼りで終わらせず、装飾的な細部を見ることで情報が少なかった近代建築での古典主義の解釈や再現方法、改変などを読み解いている。五十嵐氏は「当然、イタリアの純正なルネサンス様式とは違うはずだ」という。

 紹介している建築で現存しない辰野金吾設計の「旧帝国製麻ビル」だけは模型を展示した。会場周辺に現存する建築も展覧会場として想定する。展示は建物と装飾の写真、図面などが中心。1章「様式の受容」、2章「和風の融合」、3章「現代への継承」、4章「百貨店の建築展」に分かれ、1955年に高島屋で開催した『ぺリアン・レジェ・コルビュジエ三人展』の会場も模型で再現した。
 会期は2021年2月21日まで。時間は午前11時から午後7時。入館無料。

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