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【45°の視線】建築史家・建築批評家 五十嵐太郎氏 寄稿 「アニメ建築」と「シン・エヴァンゲリオン」

最終更新 | 2021/10/20 10:50

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 ことし4月末、『アニメ建築-傑作背景美術の制作プロセス』(グラフィック社)が刊行された。日本のアニメをとりあげたものだが、キャラ=登場人物には一切触れず、主にSFの作品において建築や都市がいかに描かれているかに注目した本である。例えば、『AKIRA』(1988年)、『機動警察パトレイバー the Movie』(89年)とその第二弾(93年)、『攻殻機動隊』(95年)、『鉄コン筋クリート』(2006年)、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』(07/09年)などだ。

 映画監督の名前を挙げると、大友克洋、押井守、庵野秀明らという布陣であり、いずれも緻密な風景の構築にこだわる作品で知られている。大友は、団地を舞台としたサイキック・バトルの漫画『童夢』(83年)において、従来の記号的な建築の表現を完全に過去のものとし、驚くべき水準でリアルに建築を描いた。これはほとんど団地の方が主人公のような作品である。

 その後に着手した『AKIRA』は、20年の東京オリンピックとその危機を予言したことでも話題になったが、昨年IMAX版の映画が公開され、改めて現代の大スクリーンでの上映にも耐える圧倒的な細部の密度に感心させられた。本書はそのもとになったネオ東京のイメージボードやカットを数多く収録している。もちろん、手描きのアートワークだ。

 実は『アニメ建築』の著者は、ドイツ人のキュレータであるシュテファン・リーケルスである。彼は日本のサブカルチャーを好み、やはりアニメの背景美術を紹介する「プロト・アニメ・カット」という巡回展(11-13年)を企画した人物だ。筆者は彼と面識があり、プロダクションの枠を超えたアニメの企画展は日本国内では難しいが(実際、個別のアニメの展覧会は少なくない)、海外ならば、逆に開催しやすかったと述べている。とはいえ、完成したアニメの映像はDVDやネットで簡単に鑑賞できるが、背景画を制作するためのレイアウト、イメージボード、資料に使われた写真などは通常は目に触れない貴重なものであり、それらを収集した本書は大変な労作だろう。

2012年に東京都現代美術館で開催された「館長 庵野秀明 特撮博物館-ミニチュアで見る昭和平成の技」展


 近未来でありながら、現実の都市を参照する押井や庵野の作品に関しては、資料となった写真も紹介している。コンセプトフォトグラファーの樋上晴彦がロケハンしてあえてモノクロで撮影した首都高と日本橋(『パトレイバー』)や香港の街(『攻殻機動隊』)、庵野自身が撮影した電線や電柱、配線に関する膨大なデジタル・フォトアーカイブ(『ヱヴァンゲリヲン』)などを眺めると、どのような風景に触発されたのかという美学がよくわかる。

 ちなみに、ことしはついに『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』(以下、『シン・エヴァ』と表記)が公開され、本当に同シリーズが完結した記念すべきタイミングとなった。宇部の工業地帯で育った庵野のテクノスケープへの強い関心は変わらないが、約四半世紀のあいだに、背景美術は手描きからデジタルに移行している。本書でもそうした位置付けだが、ウルトラマンなどの特撮映画のミニチュアが庵野の原点であることを指摘しているのは興味深い。実際、彼は「実景そのものよりも、実景にそっくりなミニチュアに感銘を受ける」という。

 なるほど、『シン・エヴァ』の終盤、第3新東京市を特撮のミニチュアのように表現するシーンが登場した。庵野の制作現場を追いかけたNHKの番組『プロフェッショナル』(21年3月22日放送)でも、レーザーカッターでつくられた第3村の大きな模型を彼がのぞきこむ様子をとらえている。実写と違い、アニメはあらかじめすべての世界を絵で描く。ゆえに、偶然のカットはありえない。

 しかし、『シン・エヴァ』では、新機軸として実写の方法論を取りいれている。俳優にモーション・キャプチャーをつけて演技させて、アングルを探ったり、模型を様々な角度から見るのも、その一環だった。フル3DCGによるアニメがアメリカで発展する一方、『シン・エヴァ』は独自の日本アニメを模索していたのである。

 
(いがらし・たろう)建築史家・建築批評家。東北大大学院教授。あいちトリエンナーレ2013芸術監督、第11回ヴェネチア・ビエンナーレ建築展日本館コミッショナーを務める。「インポッシブル・アーキテクチャー」「装飾をひもとく~日本橋の建築・再発見~」などの展覧会を監修。第64回芸術選奨文部科学大臣新人賞、18年日本建築学会教育賞(教育貢献)を受賞。『建築の東京』(みすず書房)ほか著書多数。



 

  

   

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