【先端技術が一堂に】「土研新技術ショーケース2020」開催 実物&模型で研究開発成果を紹介 | 建設通信新聞Digital

5月12日 日曜日

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【先端技術が一堂に】「土研新技術ショーケース2020」開催 実物&模型で研究開発成果を紹介

 高松に最新土木技術がずらり–。土木研究所が3日に高松商工会議所会館で開いた「土研新技術ショーケース2020」には四国地方整備局を始め、発注者やコンサルタント技術者など215人が来場し、同研究所の開発成果に触れた。講演やパネル・模型展を通じて施工と業務効率化を後押しする新技術を知ってもらい、活用促進につなげる。建設コンサルタンツ協会四国支部が共催している。

「3D浸水ハザードマップ作成技術」の説明を受ける丹羽局長(右)


 開会あいさつで西川和廣理事長は「紹介する技術の多くは、民間企業との共同研究で生まれたもの。興味があれば問い合わせてほしい」と述べた。来賓の丹羽克彦四国整備局長は「コロナ禍で建設業界は新たなステージに入っている。社会ニーズと各分野の先端技術が建設や災害復旧の現場にマッチすれば、必ずや課題解決の一助になると確信している」と語った。

 展示コーナーには最新35技術が並んだ。災害対応関連が多い中、『土層強度検査棒』は表土の深さや貫入強度を短時間で計測できる。斜面災害の多くが表層崩壊と言われる中で、パッチワーク状に分布する危険個所を絞り込む。

 『大変位対応型孔内傾斜計』も地すべりの防災技術だ。傾斜計を挿入するガイド管の変形限界を従来型の約5倍に強化した。再設置の必要がなく、長期連続観測ができるほか、ガイド管に挿入する計器も30-80%小型・軽量化して観測作業の負荷を軽減する。

 日本工営と共同研究したのが『BSC工法』だ。世界中に分布する土壌藻類を散布することで植生遷移の第一段階にあたる自然現象「バイオロジカル・ソイル・クラスト(BSC)」を形成し、浸食を防ぐ。環境にやさしく、法面整形の必要ないのが特徴。

 老朽化インフラに役立つ技術も公開。『NAV工法』は、高い耐久性を維持しながらトンネル覆工表面補修後もひび割れ発生や変状が観測できる剥落防止技術。ナイロンクロスにアクリル系樹脂を含ませた透明度の高いFRP(繊維強化プラスチック)を使うことで実現する。

 このほか講演会では▽道路▽地質・地盤▽コンクリート▽砂防▽河川▽緑化–の6分野23技術を取り上げたほか、特別講演として渡辺博志理事が「コンクリート工の生産性向上方策とその効果」をテーマに登壇した。

A:既設アンカーの緊張力を保持したまま設置・交換できる荷重計測システム「Aki-Mos」

「低燃費舗装」は骨材を寝かすことで転がり抵抗を小さくする

既設トンネルを補強する「部分薄肉化PCL工法」は路盤を下げず建築限界確保

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