【記者座談会】公害財特法が失効/地下インフラデータ3D化 | 建設通信新聞Digital

5月7日 火曜日

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【記者座談会】公害財特法が失効/地下インフラデータ3D化

A 公害発生が著しい地域の下水道整備事業などに対して国庫補助率かさ上げと地方交付税の特別措置を講じる公害財特法が、期限切れで2020年度末に失効することになった。なぜか。
B 環境相の諮問機関である中央環境審議会の小委員会が11月末、10年間の時限立法である同法の延長を不要とする意見をまとめたためだ。
C 公害防止計画に基づく地方自治体の公害防止対策事業を財政的に後押しする同法は、産業集積地域で発生していた激甚な公害に対処するのが目的だった。高度経済成長期だった1971年の制定で、過去に2回延長されているが、特別措置の適用事例数が減っていることを踏まえ、小委員会は立法目的がおおむね果たされたと判断した。
A 失効による影響は。
B 適用地域は、下水道整備などの国庫補助率が下がることになる。地方自治体にとっては影響が大きく、「法の失効は財政に多大な影響を及ぼす」などとして、延長を求める声が上がっていた。
C こうした声を踏まえ、小委員会は「国の通常の財政支援措置や個別制度による対応に移行する時期に来ている」と指摘する一方で、「法の失効後一定期間、制度の終了に伴う影響などに対する適切な配慮が必要」との見解を示した。
A 地方財政の特別措置としては、地方債の元利償還金に対する交付税措置率が通常より高く設定されているが、総務省の動きはどうなの。
B 総務省の有識者会議も11月末に報告書を公表し「法失効後の一定期間は、制度の終了に伴う影響などに対する適切な配慮も必要」としている。
C 国庫補助と地方財政措置の適切な配慮が、どのような形になるのか注目したいね。

NTTインフラネットが構築した高精度3D空間情報のイメージ。まずは東京23区のデータを構築した

◆国交データ基盤での活用にも期待

A ところで、NTTインフラネットが「SmartInfraプラットフォーム」を構築して運用を始めたという記事が出ていたが、どういう影響があるのか。
D NTTグループの通信設備を3Dデータ化して表示できるというシステムで、維持管理業務に活用するだけでなく、地下埋設物の有無の照会にも使うという。建築・土木にかかわらず、工事をする際は、地下埋設物に対する配慮が安全上、重要になる。もし、地下埋設設備に損傷を与えると社会的に大きな損害となるからだ。そこで着工前に地下埋設設備の有無をNTTなどに問い合わせて埋設位置などを確認するのだが、そのやり取りがいままで電話や電子メール、ファクスを使っており、アナログだった。これがプラットフォームの構築で大幅にデジタル化される。
E それも大きな効果だが、最大のポイントは同社がNTTの設備だけでなく、他社の地下埋設設備もデータ化できるプラットフォームを構築したという点だ。他社の通信設備や、ガス、電気などのデータも統合できれば、埋設物有無の照会や立会の業務が効率化される。さらに、国土交通省ではいま、地下埋設物も含めて国土のデータを統合して経済や災害対応などに活用する「国土交通データプラットフォーム」を構築中で、そうしたデータとしても活用できそうだ。実際に関東地方整備局が発注した「R2横浜みなとみらい・関内地区インフラデータプラットフォーム活用検討業務」はNTTインフラネットが受託しているしね。
D 同社も、作成したデータを防災・減災、スマートシティー、MaaS(モビリティーのサービス化)にも展開する考えを示している。いずれにしてもインフラ設備の3Dデータはデジタル時代のベースとなる。今後の精度向上、情報の蓄積に期待がかかるね。

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