【基礎工、橋梁で抜本的対策】阪神高速が大規模更新事業を本格化 堺線・神戸線は2021年着工 | 建設通信新聞Digital

5月9日 木曜日

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【基礎工、橋梁で抜本的対策】阪神高速が大規模更新事業を本格化 堺線・神戸線は2021年着工

 阪神高速道路会社は、高速道路リニューアルプロジェクトに基づいた大規模更新事業を本格化させる。2021年には15号堺線の湊町と3号神戸線の湊川で鋼製基礎や鋼製橋脚の更新などの工事に着手するほか、14号松原線の喜連瓜破でも設計などを進めている。

堺線湊町付近

神戸線湊川付近


 大規模更新事業は、構造物や部材の劣化が激しく、通常の補修では改善が期待できない個所を取り替える抜本的な対策。現在、同社管内では湊町や湊川、喜連瓜破以外に神戸線京橋付近と11号池田線の大豊橋付近、13号東大阪線の法円坂付近でも更新が必要とされている。

 21年に工事着手する湊町は、JR難波駅周辺に位置し、高速道路の基礎直下に地下街や鉄道が重なり合っており、地下水の上昇による鋼製基礎の腐食が進んでいる。

 このため、鋼製基礎から鋼・コンクリート複合構造に更新する。「湊町・難波地区鋼製基礎大規模更新工事」は鴻池組に委託している。工事概要は工場製作工700t、作業土工9基、地盤改良工、保護コンクリート撤去9基、支承部改良工1基、防食工、躯体コンクリート9基、防水工、既設部材取替工などで構成する。工事場所は大阪市浪速区湊町1~中央区難波1。

 湊川付近は神戸線の高架橋の下に国道2号があるため、建設当時は狭い敷地で間隔の長い橋脚を設置する必要があった。基礎や上部工を小型・軽量化したが、大型車交通による繰り返しの負荷や1995年の阪神・淡路大震災の影響を受け、床版や桁に亀裂が発生している。

 橋脚を更新する「湊川付近鋼製橋脚等大規模更新工事」はエム・エムブリッジ・森組JVが担当する。工事概要は工場製作工620t、鋼製橋脚工・基礎工7基、既設構造物補強工など。工事場所は神戸市兵庫区御所通~長田区東尻池町。

 喜連瓜破では、国道309号、長居公園通を跨ぐために長い橋長の3径間連続PC有ヒンジ箱桁橋を建設したが、設計当時の想定を上回るヒンジ部の垂れ下がりが確認された。

 橋梁の架け替えにあたり、現在は「喜連瓜破橋大規模更新工事」の設計業務を進めている。設計・施工者は非公表。概要は工事延長154m、既設橋梁撤去工、橋梁上部工、仮設工。工事場所は大阪市平野区喜連西~瓜破西。

 神戸線の京橋付近は海上部に橋梁を建設するため、橋脚数を減らす必要があり、ヒンジ形式を採用した。結果、喜連瓜破の橋梁と同様にヒンジ部が垂れ下がり、路面が沈下している。

 池田線大豊橋はもともと、一般道として整備された大阪府道の既存橋梁を活用し、建設した。府道の設計時に考慮されていない最大50cmのコンクリートかさ上げや大型車交通の増大により、コンクリート橋桁にひび割れが発生している。

 東大阪線法円坂では、建設当時に橋梁の建設予定地で難波宮の大規模な遺跡が発見されたことから、杭を使わない構造と軽量な上部工を採用した。交通量の増大や大型車による負荷が金属疲労による亀裂を発生させた。

 京橋と大豊橋、法円坂付近の更新にも今後、着手する見通しだが、実施時期は未定となっている。

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