【記者座談会】緊急事態宣言の再発令/公共工事の影響は限定的 | 建設通信新聞Digital

5月2日 木曜日

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【記者座談会】緊急事態宣言の再発令/公共工事の影響は限定的

A 新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言の再発令から2週間が経過した。1日当たりの新規感染者数は高止まりを続けているようだ。

B 飲食店を中心に対応を求めていることもあって、建設業界の影響は限定的ともいえる。

C 前回の宣言では工事の新規公告を一時ストップした東京都も、発注を継続する判断をとった。対応を変えた背景には何があるだろう。

D 都財務局の契約担当部署は、「業種を絞った今回の対応による公共契約への影響は限定的」と考えている。また、建設企業のコロナによる閉所などが少ないことも理由に挙げている。

B 企業の自主的な工事中断も発生していない様子だ。緊急事態措置が終了した2020年5月以降、建設局や財務局では、現場の一時中止に関する受注者からの相談は激減したという。

E 都の新規公告が継続することで、第4四半期(1-3月)に予定される債務負担行為などを活用した前倒しの工事発注も実施されそうだ。

A 例年1月末に21年度の予算案が公表されるが、工事関係予算も気になるところだ。

E 知事査定終了後の報道陣の取材に知事は、一般会計の予算規模が7兆4250億円程度となる見通しを明らかにした。20年度と比べて700億円ほどのプラスになる。

F ただし、コロナ対応や東京五輪の追加経費で上積みされた分が含まれている。これらを含まない各部局の予算要求に対する財務局の査定額は、合計6兆9532億円だった。

E このうち、建設局の予算は5647億7900万円で、20年度当初予算と比べ約3%減少している。

B 20年度の都税収入も減少する見通しで、都は減収補てん債を発行する意向だ。発行されれば東日本大震災で影響を受けた11年度以来になる。

C 都税は企業からの税収に対する依存が強い。コロナ禍の影響が残る21年度も税収減が予想されている。

E とはいえ首都直下地震に加えて、大規模水害の危険性が顕在化している状況だ。防災対策の予算を大きく削ることは難しいのではないか。

A 知事は「必要な事業には重点的に予算を配分する」とメリハリのある財政運営を強調しているが、難しい運営が続きそうだ。

東京都の予算査定スタート時の会合。18日まで実施された

感染対策徹底、リモート方式へ/入札方法の多様化

B 話は変わるけど、緊急事態宣言が発令されると、記者による取材も一定の制限を受ける。ただ、前回の緊急事態宣言と少し違う点があるとすれば、前回ほど対面取材や傍聴取材が減少していないように感じる。密を避けたり換気するといった感染拡大防止対策のノウハウが蓄積されてきたためかもしれない。

C たしかに、前回の緊急事態宣言では、われわれが通常取材する行政機関の会議や審議会、民間企業による記者発表会などの多くが開催自体を中止した。当時、感染防止対策が手探り状態だったためだろう。それに比べると今回は、中止は少なく感染対策を徹底した上での開催、あるいはウェブ会見などリモート方式への切り替えなどが多い。

D 入札やプロポーザルの実施方法も大きく変わった。総合評価落札方式やプロポーザルでは、これまで対面によるプレゼンテーションが一般的だったが、ウェブ会議システムの活用などによる非接触型の取り組みが広がっている。

B 長崎県は21年度から、総合評価方式でオンライン活用や遠隔臨場などリモート技術の活用、感染防止対策、働き方改革などの審査項目を新設する。こうした入札方式の多様化も加速しそうだ。

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