【BIMと電子商取引の連動】BIM-ECコンソーシアムが検討結果報告 見えてきたものとは? | 建設通信新聞Digital

5月10日 金曜日

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【BIMと電子商取引の連動】BIM-ECコンソーシアムが検討結果報告 見えてきたものとは?

 スターツコーポレーションなど12社で構成し、BIMとEC(電子商取引)を連動させる仕組みを検討している「BIM-ECコンソーシアム」は、2018年9月の発足から20年12月までの検討結果をまとめた。設計者・施工者と建材メーカーの1対1の取引で、BIMの活用によって建材見積もりの業務量を大幅に削減できることを確認した。今後、BIM見積もりの企業間標準化の実現や受発注時のBIMデータ活用、物流・納品時のBIMデータ活用、BIM-ECシステムのあり方について検討する。

実証実験における建築生産システムの整理


 コンソーシアムでは、意見交換や実証実験などを進めてきた。設計者・施工者と建材メーカーが、BIMデータで見積もり依頼から見積もり提示までを自動化する実証実験では、BIMデータから見積もりに必要な建具情報を拾い出して見積もりし、社内の受発注システムと連携した。この結果、設計・施工者と建材メーカーの1対1では、設計図書のBIMデータを使って自動的に数量・仕様を拾い出すことで、建材見積もりの業務量を大幅に削減できた。

 一方で、発注者からのデータに誤差やミスがあった場合の対応を検討する必要があるほか、設計初期段階では仕様が明確でないため、発注時との誤差の考え方をメーカーと共有するルールづくりが必要という課題が浮かび上がった。

 建材メーカーも、既存の見積もりシステムとBIMデータを自動連携させる システム改良や複数のBIMソフトへの対応が必要になること、自社建材のモデル化と見積もりに必要な属性情報の付与、新商品展開・商品改定時の対応が課題となった。

サッシュのBIMモデル

照明器具のBIMモデル


 このため、大量のBIMデータを取り扱うクラウド環境を含めた大規模なシステム環境を構築する必要があり、決済・納品まで総合的にシステム上で管理するためには、ECサイトのような決済システムも必要になる。建材会社と施工会社が異なる材工分離の場合や代理店を経る場合といった建設業界特有の商流もBIMを前提とした簡素化が不可欠になる。
 コンソーシアムではこうした課題を踏まえ、検討を続ける。

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