【沿岸地域を守る】検出とほぼ同時に高精度予測 レーダーによる津波の浸水深予測AI開発 | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

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【沿岸地域を守る】検出とほぼ同時に高精度予測 レーダーによる津波の浸水深予測AI開発

 三菱電機は、建設工学研究振興会と共同で、同社のAI(人工知能)技術「Maisart(マイサート)」を活用し、レーダーで検出した海表面の流速値から、陸地での津波浸水深を津波検出とほぼ同時に高精度予測する「レーダーによる津波の浸水深予測AI」を開発した。津波検出後数秒程度の短時間で、陸地の津波浸水深の高精度予測が可能となり、迅速な避難計画の策定支援と沿岸地域の防災・減災に貢献する。

レーダーによる津波の浸水深予測AIの学習フェーズと運用フェーズのイメージ


 特長として、さまざまな地震による津波発生条件下(震源地、断層のずれ量、ずれ方向など)の海表面の流速と陸地での浸水深の関係をAIが事前に学習する。流速の面的観測が可能なレーダーで観測した遠方を含む広範囲の流速値を基に、AIが津波検出とほぼ同時に陸地の津波浸水深を高精度に予測する。計算時間は数秒、誤差は1m程度で、南海トラフ地震を想定したシミュレーション実験で約1500パターンの地震条件で検証した。これまでは、発生した地震の位置と規模から過去のシミュレーションデータを照らし合わせて予測していたため、計算時間に数分かかり、誤差も平均3m程度で精度に課題があった。

 今回は南海トラフ地震を想定して検証した。今後、さまざまな地震に対する検証試験を実施し、沿岸域の地方自治体、港湾、空港施設などの重要施設における津波監視支援を目標に、実環境での適用に向けた研究開発を進める。従来手法では予測困難な海底地すべり要因の津波などに対応範囲を拡大し、防災・減災に貢献する。開発に当たっては、三菱電機がマイサートによる浸水深予測アルゴリズムの開発、建設工学研究振興会が津波・地震についての総合的なアドバイス、さまざまな地震による津波のシミュレーションを担当した。



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