【MR(複合現実)技術】大林組 施工管理業務効率化アプリケーション「holonica」を開発 | 建設通信新聞Digital

5月11日 土曜日

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【MR(複合現実)技術】大林組 施工管理業務効率化アプリケーション「holonica」を開発

 大林組は、MR(複合現実)技術を活用し設計情報確認や検査記録作成などの施工管理業務を効率化するアプリケーション「holonica(ホロニカ)」を開発した。BIMデータが持つ3次元の形状や部材単位での寸法や部材符号、仕上げ方法などすべての属性情報をMR技術で実際の施工場所に重ね合わせて表示することで、設計への理解を視覚的に支援し、デジタル空間内の該当個所への施工管理情報の記録を容易にする。

複数設置したマーカーを適宜読み取り位置情報を補正


 検証では、情報の参照や記録が煩雑な内装仕上げ検査業務へホロニカを適用した結果、情報の伝達漏れを防ぎ精度の高い施工管理を維持できることや、従来の紙図面を使った仕上げ検査と比較して約30%の時間短縮効果が得られることを確認した。

 同技術は、ホロラボ(東京都品川区、中村薫代表取締役CEO)のクラウドプラットフォーム「mixpace」をベースとしており、利用シーンに応じて眼鏡型ウェアラブル端末やタブレット端末などさまざまなデバイスからアクセスできる。BIMデータのMR化に必要な変換、管理、表示機能を提供するmixpaceと連携し、BIMデータを端末上でウェブアプリにドラッグ&ドロップするだけでMRを使えるようにした。

 床などに約15mおきに配置したマーカーの認識と、カメラ映像の変化などから位置姿勢や周辺環境を推定する自己位置認識技術を組み合わせて取得した位置情報を利用することで、従来のMRシステムよりも広範囲で高精度な計測を実現した。BIMデータが持つ3次元の形状や属性情報を任意の透過率で現実と重ね合わせて表示できるため、膨大な設計図書から必要な情報を探す必要がなく、設計と実物の違いをすぐに発見できる。

 検査記録はBIMデータ上に印を付けてサーバーにアップロードすることで共有でき、現地のどこに問題があるかを一目で確認できる。記録者の視点位置情報やBIMデータ内の対象部材などの情報も一緒に保存されているため、効率的かつ確実に是正、確認を進めることができる。

検査記録はリアルタイムで共有可能


 今後、2021年度中は実用化に向けて一部現場で試用を重ねながら運用体制を整え、22年度から全国の現場へ展開することを目指す。



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