【送電線鉄塔現場に特化】変幻自在! 1台で鉄塔組立ができるクレーンを東光電気工事が開発 | 建設通信新聞Digital

5月1日 木曜日

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【送電線鉄塔現場に特化】変幻自在! 1台で鉄塔組立ができるクレーンを東光電気工事が開発

 東光電気工事は、送電線の鉄塔建設で鉄塔の基礎工事に使うジブクレーンと鉄塔組み立て工事で使用するクライミングクレーンを1台で対応できる「ヴァリアブル(変幻自在)クレーン」を開発した。傾斜地にも対応するアウトリガー構造でクレーンを設置することで、クレーンが自立した状態でマストをアップさせ、鉄塔を組み立てる。鉄塔の規模や地形条件でクレーン形式を変える必要がなく、工期を短縮するとともに、生産性を向上、省人化にもつながる。今夏以降、実現場で実証する予定で、2022年度にも本格的な適用を目指す。

ヴァリアブルクレーンでの鉄塔組み立て作業


 ヴァリアブルクレーンの開発には、北川鉄工所が協力し、ビル建設などに使う小型クライミングクレーンをベースに改良・開発した。東光電気工事は20日、「つくばセンター」(茨城県つくばみらい市)でヴァリアブルクレーンによる作業を公開。建機レンタルやクレーン製造の企業、複数の電力会社、ゼネコンなどの担当者約60人が参加した。

 クレーン本体は鉄塔の脇に設ける。アウトリガーは伸縮が可能で、現場条件に応じ4m四方、6m四方、8m四方の中から選択。ジブクレーン状態ではカウンターウエイトの取り付けができる。タワークレーンとして使う時は、カウンターウエイトを基礎体に一体化してマストをせり上げる。クレーンの定格荷重は3パターンあり、切り替えモードを備え付けた。ジブの長さも3種類から選択できる。

アウトリガー構造部(伸縮が可能)


 カニクレーンなどでヴァリアブルクレーンを組み立て、ジブクレーンモードで鉄塔の基礎工事を実施し、同モードで組み立て可能な範囲まで鉄塔を組み立てる。その後、鉄塔組み立てが可能な高さまでマストを継ぎ足し鉄塔を組み立てていく。送電線事業部の水野俊志技術営業部部長は「ヴァリアブルクレーンは現場状況に応じた機能を選択できることが最大の特徴であり、送電線鉄塔工事の現場に特化した」と説明する。

 送電建設業界では人手不足、重機不足、技能継承、生産性低下、伐採災害防止の課題を抱え、これら課題の解決に向けてクレーンを開発した。ヴァリアブルクレーンを適用すれば、鉄塔基礎工事の期間は変わらないものの、クライミングクレーンの組み立て・撤去がなくなり、高さ70~100mの鉄塔で組み立て工期が10日程度短縮できるという。また、高性能林業重機を取り入れ、伐採と重機道の構築を効率化し、準備工事の生産性も向上する。



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