【グループで初】NEXCO西日本が高速道路の構造物点検にAI導入 点検業務でのDX推進へ | 建設通信新聞Digital

5月5日 日曜日

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【グループで初】NEXCO西日本が高速道路の構造物点検にAI導入 点検業務でのDX推進へ

 NEXCO西日本は、高速道路の構造物点検にAI(人工知能)をNEXCOグループで初めて本格導入する。撮影した画像からひび割れなどを自動検出する「AUTO CIMA(オートマチック・クラック・インスペクション・マネジメント・アシスト・システム)」により、点検業務でのDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する。

導入イメージ


 これまで、点検員が直接現場に向かい、近接目視で変状を確認することで橋梁の健全性を診断していた。高解像度カメラの導入などで効率化が進んだ一方、NEXCO西日本が管理する高速道路の約5割が開通から30年が経過し、橋梁などの劣化が進んでいることや、点検対象の増加に対する人員不足などの課題は残されていた。

 AUTO CIMAは、高解像度カメラで撮影した構造物の写真を基に、AIがひび割れやはく落跡、鉄筋露出、エフロレッセンスなどの変状を検出し、画像内で強調表示する仕組みとなる。

 システムの導入により、橋梁点検者や高所作業車が必要なくなり、カメラとパソコンのみで点検が可能となる。最大69mまでの距離の撮影や画像の位置情報の取得、画像の自動貼り合わせによる撮影漏れの回避などの特徴がある。

 2015年から開発を始め、過去のひび割れ画像1万枚、その他の変状の画像3万枚を使い、同社グループの点検スペシャリストが画像内の変状個所をAIに学習させた。結果、ひび割れについては、実際のひび割れのうち、AIが検出できた割合を表す検出率は95%、AIが検出したひび割れのうち、実際にひび割れが確認された割合を表す的中率は95%を達成し、本格導入に至った。

 鉄筋露出やはく落跡、エフロレッセンスの検出率は93%、的中率は57%となっており、NEXCO西日本の里深一浩執行役員技術本部長は今後について「的中率向上や点検業務の効率化を図りたい」と語った。

里深技術本部長



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