【電気炉製鋼】鉄に生命吹き込む姿ダイナミックに 山崎エリナさん写真集『鉄に生きる』出版 | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

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【電気炉製鋼】鉄に生命吹き込む姿ダイナミックに 山崎エリナさん写真集『鉄に生きる』出版

 鉄の材料となる鉄鉱石はわが国からは産出されないが、私たちの生活圏には合計14億tもの鉄が存在するという。他方、わが国は鉄スクラップの輸出国でもある。年間2500万t(2019年)を算出、その95%はリサイクルされている。

 地域で出たスクラップを原料に鉄製品をつくり、地域に還元する。輸送に伴うCO2排出量も抑えられ、SDGs(持続可能な開発目標)に合致した循環型の製鋼法が電気炉製鋼だ。

 いかに少ない電気で鉄を溶かせたか。不純物の濃度をいかに短時間で一定以下に下げられるか、アークを効率よく飛ばせる技術、精錬技術や圧延工程でも粘りと強度ある鉄づくりには経験と勘が大きくものをいう。

 漆黒の世界に噴き上がる紅蓮の炎は1600度に達する。その現場に密着し、火の粉が舞い、頬が焼け付くような熱さに耐えながらファインダーで切り取った一瞬に、鉄に生命を注ぎ込む技術者たちの姿、その信念をも閉じ込める。

 人々の生活を陰で支える土木の世界に魅せられ、工事現場で働く人々の姿をカメラに収めてきた写真家の山崎エリナさんが挑んだ最新の写真集『鉄に生きる サスティナブルメタル電気炉製鋼の世界』は、「捨てればゴミとなる鉄くず」を生活や産業の基盤としてよみがえらせる鉄鋼マンの誇りを世界一の製鋼技術とともに鮮やかに描き出している。

 国内外で大きな反響を呼んだ写真集『インフラメンテナンス』の出版記念写真展がきっかけで、循環型製鋼に長年取り組んできた北越メタルの新潟県長岡市本社工場、福島県喜多方工場が撮影協力し、同社の棚橋章社長が執筆協力した。

 B5判112ページ。定価は2420円(税込み)。発行元はグッドブックス。



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