【コロナ禍の課題解決へ】再開発検討中の中目黒駅周辺地区 地域主体のまちづくりが活発化 | 建設通信新聞Digital

4月20日 土曜日

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【コロナ禍の課題解決へ】再開発検討中の中目黒駅周辺地区 地域主体のまちづくりが活発化

 再開発事業の計画もある東京都目黒区の中目黒駅前で、地域主体のエリアマネジメント活動が活発化している。コロナ禍で地元飲食店などが影響を受ける中、商店街や「中目黒駅周辺地区エリアマネジメント(NAM)」がキッチンカーや医療従事者への弁当配達などを実施。同区の小林博街づくり推進部地区整備課長は「コロナ禍で街づくり活動が制限される中、NAMが積極的にエリアマネジメントに取り組んでいる。地域活性化、ひいてはNAMの活動資金確保にもつなげ、持続可能なエリアマネジメントに取り組みたい」と語る。

 駅北東側で2020年12月、「中目黒駅前北地区市街地再開発準備組合」が発足した。東急ストアや中小ビルが建ち並ぶ約0.6haのエリア(上目黒1-20・21)を対象に、再開発事業の基本計画を検討している段階だ。

中目黒駅前北地区


 事業協力者として丸紅都市開発と東急、コンサルタントとして日本設計が参画している。
 ハード・ソフト両面のまちづくりにあたり、区は19年1月に中目黒駅周辺地区整備計画を改定した。住商共存の利点を伸ばし、マナー問題などの課題解決を目的に、住民、町会、商店会などが街づくり活動に取り組む「なかめスタイル」の実践を掲げている。

 主体的・継続的な組織体制を目指して、20年に設立したのがNAMだ。なかめスタイルに基づく活動を具体化・実行して、住民、企業、来訪者への街づくり参加を促す。

黒川船入場広場を活用して「なかめテイクアウトプロジェクト」を実施した


 4、5月にかけては「心にさくらプロジェクト」を実施している。区の財源やクラウドファンディングによって中目黒商店街連合会への助成金を確保して、商店街が地元飲食店に弁当を発注、区内の医療従事者に配達・無償提供する取り組みだ。

 地元飲食店にとって収入の大部分を占める目黒川の花見は、感染状況のひっ迫により2年連続で自粛を余儀なくされた。街の将来像の実現に向けて「困難な時こそ地元住民や公民が一丸となり、ソフト面で目に見える取り組みを続けていきたい」(区担当者)考えだ。

 桜の花をかたどったメッセージカードの回収ボックスを区庁舎や中目黒駅周辺のスターバックス、蔦谷書店などに設置して、医療従事者の労をねぎらうメッセージを募る。カードは消毒した上で配布用のお弁当に貼り付ける。

心にさくらプロジェクトのメッセージ回収ボックスは、庁舎や中目黒駅周辺の店舗に設置している


 配達先の4病院では、感謝の声が上がっている。区は引き続きクラウドファンディングの目標額到達に向けて協力を呼びかける。

 同プロジェクトに先立ち20年度は、4月に飲食店のテイクアウト情報をSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で発信し、10、11月に目黒川船入場広場を舞台にしたキッチンカー設置による地元飲食店支援に取り組んだ。反響が大きかったことから、第3弾の実施に向けて検討している。

 小林課長は今回の活動を通して「目黒川船入場広場を活用した、区の新たな歳入確保策として期待している。今後は河川特例占用の導入を視野に、NAMの自走・自立に向けた増益も目指す」としている。

 中目黒駅は東急東横線・東京メトロ日比谷線が乗り入れる。駅施設と交差する目黒川沿いは桜まつりや夏まつりの会場となるほか、個性的な店舗や飲食店が集積している。

コロナ禍前、花見シーズンは目黒川沿いが多くの観光客でにぎわっていた


 駅高架下では、東急電鉄と東京地下鉄による商業施設が16年11月にオープンした。19年4月には駅北東側に東京音楽大中目黒・代官山キャンパスが開校して、中目黒駅から代官山にかけて新たな動線が生まれている。

 区は引き続きNAMによる民間活力を活用したエリアマネジメント活動を支援して、公民連携による街づくりに向けた実証実験を積極的に展開していく考えだ。



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