【クローズアップ】"インフラメンテ"支える女性の力 エンジニアサポートセンターの活動とは | 建設通信新聞Digital

4月20日 土曜日

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【クローズアップ】”インフラメンテ”支える女性の力 エンジニアサポートセンターの活動とは

 インフラと技術士をつなぐ架け橋に――。日本技術士会理事の河野千代氏が代表理事を務める一般社団法人・エンジニアサポートセンター(ESC、大阪市)が、建設コンサルタントの支援を手がけている。業務に当たるのは、河野氏も含めた6人の女性だ。「多忙を極めている建設コンサルタントの皆さんを、ほんの少しでも手助けできれば」と語る。

 河野氏は普通科高校卒ながら、結婚後に就職した土木会社で技術者になることを決意。子育てや主婦業の合間をぬって勉強を続け、2013年に技術士に合格。17年には日本技術士会の本部理事に選出された。約18年勤めた久本組を20年に退職、「技術者をつなぐプラットフォーム」を目指し同年ESCを設立した。

 独立して改めて痛感したのが土木業界の「深刻な人手不足」だった。とりわけ技術士やCADオペレーターなどは「手の空いている人がどこにもいない」状況で「資格のない人間でもできることは何かあるはず」と考えた。

 スタッフは20歳代から60歳代まで5人の女性で、いずれも河野氏の知り合いにあたる。「勤務時間は自己申告。期日さえ守ってくれたら、働き方は自由」だ。5人のうち4人は家庭の主婦で、ESCのオフィスにきて作業することもあるが、基本的には在宅で家事のすき間時間を使い、業務をこなす。

 主に扱っているのは、建設コンサルタントから依頼されたインフラメンテナンスに関するデータ入力や、数字や写真の照合・チェックなど。「資格や専門知識がなくてもできることとはいえ、根気の要る作業が少なくない。すべては彼女たちの真面目さ、熱意のおかげ」と話す。

 今後は業務の拡大も視野に、CAD図面の簡易な修正などにも対応できるようメンバーのスキルアップを目指している。その一方で建設部門にとどまらない「技術士のプラットフォーム」の取り組みも少しずつ進めている。

 機械部門の技術士と「建設機械の脱炭素化」に向けたとあるプロジェクトに携わっているとのことで「技術と技術、人と人をつないでいくことが、私の使命」と前を向く。



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