【"肌落ち災害"への巻き込まれリスクを回避】装薬孔を安全に清掃 大成建設が専用器具を開発 | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【”肌落ち災害”への巻き込まれリスクを回避】装薬孔を安全に清掃 大成建設が専用器具を開発

 大成建設は、山岳トンネル工事の発破掘削で爆薬を装填する「装薬孔」を安全に清掃するための専用器具を開発した。切羽から一定の距離をとって安全で効率的に装薬孔を清掃できる点が特長となる。切羽に近づいて作業する時間を減らすことで、いわゆる肌落ち災害に巻き込まれるリスクを回避する。積極的な活用によって、作業の安全性や効率性アップを狙う。

 新たに開発した専用器具は、先端30cmを“らせん形状”に加工したスクリュー棒が回転することで、装薬孔に残った多数の小石を絡め取るように捕捉・除去する仕組み。

 発破作業は、電気雷管で爆薬を使用するため、静電気の発生を防止する必要があることから、スクリューを回転させるドリルに、圧縮空気で動くエアードリルを採用した。シャフトの長さを変えることで、削孔長に合わせて柔軟に対応できる汎用性の高さも特長となる。

 切羽から一定の距離をとって安全に清掃作業できる環境をつくることで、作業員が肌落ち災害に巻き込まれるリスクを防ぐ。

 装薬孔に残った小石を事前に取り除く清掃作業は、先端を“カギ状”に整形したキューレン棒と呼ばれる専用の器具を使い、作業員が装薬孔を直接、目視で確認しながら小石などをかき出しているというのが実情。

 作業員が切羽の近くで作業するという危険リスクだけでなく、1つの装薬孔に何度もキューレン棒を差し込んで装薬孔に残った小石を除去しなければならない手間もある。

 いまやトンネル工事の多くの工程・作業で機械化・自動化が進展している中で、作業員の身を守る安全性だけでなく、作業の生産性・効率性といった点でも大きな課題の1つになっていた。

 トンネル工事での安全性向上を目的に危険エリアである「切羽の近く作業員が立ち入ることなく安全に作業できる」ことをコンセプトに、多くの技術・器具の開発を進めている大成建設として、切羽から一定の距離をとって安全に装薬孔の清掃作業を行うためのツールとして今後の積極的な導入・活用を見込む。

 らせん形状に加工したスクリュー棒によって装薬孔に残る小石を効率的に除去することができるこの仕組みを、装薬作業の機械化やその延長線上にある自動化の実現に向けた「要素技術」として活用することで、今後の機械化・自動化に向けた技術開発の推進にも弾みがつく。



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