【歴史的遺構保存・再生の足掛かりに】JIA宮城 多賀城南門復元現場で見学会を開催 | 建設通信新聞Digital

4月19日 金曜日

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【歴史的遺構保存・再生の足掛かりに】JIA宮城 多賀城南門復元現場で見学会を開催

 日本建築家協会東北支部宮城地域会(JIA宮城、早坂陽地域会長)は、特別史跡多賀城南門等復元工事を対象とする2021年度第1回現場見学会を宮城県多賀城市内で開いた。会員約20人が参加し、かつての城郭に思いを馳せながら、歴史的遺構の保存・再生の足掛かりにしようと貴重な復元現場を熱心に見て回った。

 多賀城は、奈良時代の724年に鎮守府将軍大野東人が築いた陸奥国の国府で、北方の蝦夷に対する前線基地の城柵の1つ。国内に68カ所あったと推測されている国府の中で唯一創建年が明らかになっており、鎮守府なども設置されたことから、古代東北の政治・軍事・文化の中心として栄えた。

 同市市川にある多賀城跡約10.2haの中央には築地塀で囲まれた政庁、外郭間には行政事務や城内道路などの遺構が確認されている。

 その南門は、8世紀中ころに外郭に建てられた正門で、養生した遺構上に礎石の配置間隔などから割り出した原寸大の門を復元するもの。軒・屋根が2層の二重門は、当時、東北地方で主建材に使われたクリ材を使用しており、高さは14.5m、桁行きは10.5m、梁行きは6.6m。屋根は本瓦葺きの入り母屋造りで、彩色は朱色の丹土塗装がメインとなる。

完成イメージ


 設計・監理は文化財建造物保存技術協会が担当。松井建設が施工している。

 3月末までに二重の柱の頭貫などを終え、今後は奈良県で製造している瓦の設置や二重柱の天端から上層の整備を進める。国府多賀城創建1300周年を迎える24年度の一般公開を目指す。

 見学会では多賀城市と松井建設の担当者が場内を案内しつつ、復元の経緯や工事概要などを説明した。参加者は熱心に耳を傾けつつ、初重の柱や飛燕垂木などを真剣な眼差しで視察した。



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