【点在する魅力を広域へ】東京交流創造ネットワーク協議会が設立記念シンポジウムを開催 | 建設通信新聞Digital

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【点在する魅力を広域へ】東京交流創造ネットワーク協議会が設立記念シンポジウムを開催

 東京交流創造ネットワーク協議会は12日、東京都千代田区の東京商工会議所で設立記念シンポジウムを開き、東京都の小池百合子知事は冒頭、「成長、成熟を両立した都市をチーム一丸でつくるための後押しをお願いしたい」と期待を寄せた。パネルディスカッションでは市川宏雄明治大名誉教授がモデレーターとなり、上野雄一東京都技監兼都市整備局長、岸井隆幸計量計画研究所代表理事、anの永谷亜矢子代表取締役、田川博己東京商工会議所副会頭・観光委員長、本保芳明国連世界観光機関駐日事務所代表が登壇し、エリア連携による「国際交流創造都市・東京」の実現に向けて議論した。

パネルディスカッション


 上野 東京都では、特色ある拠点を各地に形成するとともに、拠点間をつなぐように水と緑のネットワークを充実させ、公共交通の活用により人々の往来を活発にする。拠点を創造し連続的なにぎわいや相乗効果が生み出される。全体の魅力と活力を高め、東京の国際競争力を向上させていきたい。

 岸井 それぞれのエリアマネジメントはすばらしい。今後は各地区の個性を深化させ、エリアがつながることによって都市としての価値向上を目指した活動が展開されるだろう。ただ、東京の強みをしっかりと意識して適切に情報提供し、そこに参加できる仕組みをいかに作るかに注力しなければ、都市の魅力向上にはつながらない。

 永谷 人を集めるためには、継続性の高い良質なイベントを連携させナレッジ化するべきだ。これには事業継続を見据えたイベントプロデューサー、海外へのPR、大規模会場の不足が課題となる。

 田川 東京は拠点も多くハード面で充実しているが、魅力を知っている人がまだ少なく、シビックプライド(郷土愛)が薄いのではないか。こんなにも“宝”がありながら生かし切れていないのが東京という都市。協議会でハードとソフトがバランスよくいく流れを作れたらよい。

 岸井 各地区の特性があるからこそつなぐ意味がある。同じものがただ広がるのではおもしろくない。東京は、整備されすぎていない“カオス”でよく、そこにチャンスがある。歴史、自然などの視点から東京でしか体験できないものや人の存在が大切だ。

 市川 単独のイベントをマクロ(な視点)に広げて対外的に魅力を持てるようにするにはどうしたらよいか。
 永谷 インバウンドを見据えるとプロモーションの術がない。だからこそ、定着して(集客力のある)既存のイベントを分析し、次なるマーケティングを試してみるべきだ。整備された空間の隣で“カオス”な部分、つまり楽しみを残すことは、体験価値を向上させるという点で重要だ。

 本保 いくつかの問題をまず取り上げて、協議会としてどう貢献できるかを考えることが出発点として大事だ。マクロの問題に取り組む中ではミクロの問題を片付けなければ解決できない。マクロとミクロをセットにして個別の問題をとらえ、順序立てて取り組むことでわれわれの実力もついてくるはずだ。

東京交流創造ネットワーク協議会の概要

 エリアごとに都市開発が行われ、それぞれが特徴的な文化的魅力をもっている東京。その都市としての魅力をさらに高め交流を推進するためには、エリア同士が連携し、新たなにぎわいを創出することが不可欠だ。こうした中、大都市政策研究機構を母体としてディベロッパーや観光、交通事業者、都などが結集し、東京の都市力向上を目指す「東京交流創造ネットワーク協議会」(市川宏雄委員長)を設立した。各エリアで開発に取り組むステークホルダーが連携し、ソフトコンテンツで活動する組織、団体も協働する広域エリア連携の仕組みを構築し、「国際交流創造都市・東京」を目指す。

協議会組織編成図


 今後はSNSを通じた発信、エリアが連携した共通テーマに基づくMICEの誘致、ナイトタイムエコノミーの活性化、共同のマーケティング調査に取り組む。都民と旅行者の回遊インフラをさらに高めるべく、デジタル入場券、デジタル決済などの具体的な基盤構築も検討する。

 現時点では三井不動産、三菱地所、森ビル、住友不動産などの大手ディベロッパー、JR東日本、東京地下鉄などの交通事業者、JTBなどの観光事業者や都が参集しているが、東京の交流創造にかかわる多様な企業、団体に参画を呼びかける。



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