⇒前回はこちら
■都市型自動運転船「海床ロボット」による都市の水辺のイノベーション実証実験
代表者は竹中工務店で、人東京海洋大学海洋工学部清水研究室、IHI、炎重、水辺総研、新木場海床プロジェクト、ウォーター・スマート・レジリエンス研究協会が共同参画する。
日本の都市は水辺(川辺・海辺)に形成されてきた。東京・大阪・名古屋などの大都市臨海部では、都市過密化により交通、物流、環境、防災などの課題が複雑に絡み合う状況となっており、都市部の低未利用化した水域の活用は重要な糸口となる。
実験では、水面に浮かべた3m四方の床に自動で離着岸する都市型自動運転船「海床ロボット」を開発する。「渡し船モデル」「レストランモデル」などの応用展開や「運搬ドローン連動機能」「自動離着岸機能」「複数連結機能」などの技術開発を進めることで、水辺の交通・物流・防災・防犯などの都市問題を解決し水辺を変革していく未来を描く。
2025年大阪・関西万博に向け、水の都から、先端技術やチャーミングな技術応用の姿を見せたい考えだ。
■超軟弱地盤における、「NSエコパイル」打設&引抜き実証実験および「カルシア改質材」による支持力改良実験
代表者は日本製鉄で、エムオーテック、東洋テクノ、日鉄建材が共同参加する。
純らせん・先端開放の羽根形状を有したNSエコパイルは、地盤を極力乱さずに貫入し、逆回転で引抜き撤去も可能にする。これをパビリオンや大屋根など万博の構造物の基礎として用いるため、夢洲埋立地盤の特性を把握し、小型機械による杭打設と、万博閉幕後に杭の引抜き・整地などを実証・確認する。成果として万博会場の整備を低コストかつ短工期で実現することを目指す。
「カルシア改質材」による支持力改良実験では、軟弱浚渫土地盤を持つ夢洲で、支持力不足などの問題を解決し、万博会場整備に貢献する。
同質材は製鉄の製鋼工程で副次的に生成される製鋼スラグを原料とし、成分管理と粒度調整を施した軟弱浚渫土改質材である。
■空飛ぶクルマによる飛行体験“Experience the Sky”
代表者はLIFT AIRCRAFTで、丸紅エアロスペースが共同参加する。
実験では、LIFT AIRCRAFT社製の一人乗り電動垂直離着陸機(eVTOL)“HEXA”を使用し、2021年後半から全米各地での実施を計画する飛行体験を、日本の環境・法規制のもとで成立するかを検証する。
体験内容は、一般希望者を対象に、操縦免許を持たない被験者が地上での簡易なオリエンテーションを受けた後に10分程度飛行するというもの。
夢洲での実証実験では、いくつかの飛行パターンを試みることで、体験飛行での最適な高度やスピード、騒音・振動など環境への影響や操縦者の乗り心地などを検証し、冗長性に優れた安全設計を確認する。
また、アメリカの飛行体験で実施する簡易なオリエンテーションについても、日本の法規制下での実用性を検証する。