【現場から 三郷黒沢川小水力発電所】"地域共生型"再エネ事業第3弾が本格稼働/飛島建設・オリエンタルコンサルタンツ | 建設通信新聞Digital

5月1日 水曜日

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【現場から 三郷黒沢川小水力発電所】“地域共生型”再エネ事業第3弾が本格稼働/飛島建設・オリエンタルコンサルタンツ

 飛島建設とオリエンタルコンサルタンツが長野県安曇野市に建設を進めてきた「三郷黒沢川小水力発電所」が4月から運転をスタートさせた。運転期間は20年間。清掃や点検など維持管理の一部を地元に委託する“地域共生型”の再生可能エネルギー事業となる。第3弾プロジェクトの本格稼働によって今後の事業展開にも弾みがつくことになりそうだ。

ゲート交換など既存取水口の機能を向上させた

 中小水力など地域共生型の再生可能エネルギー事業の全国展開に取り組む飛島建設・オリエンタルコンサルタンツJVにとって、16年4月に運転を開始した「落合平石小水力発電所」(岐阜県中津川市)、20年4月の「神坂霧ヶ原小水力発電所」(同)に続く3例目のプロジェクトとなる。
 農業用水路として使われてきた既存の南小倉用水の設備の一部を発電設備の導水路として活用。新設した水圧管路を南小倉用水のかんがい用水管として共用することで、かんがい設備を更新するのと同時に劣化個所の入れ替えや補修によって地域が負担する南小倉用水の維持管理コストの軽減を図っているという。
 規模は有効落差が93.6m、最大使用水量が毎秒0.276m3、発電機の定格出力は193.7kW。FIT(固定価格買取制度)によって生み出した電力の全量を中部電力に売電する。
 発電設備の運転状況をリアルタイムに確認できる「遠方監視システム」を導入して運転管理の効率化を図る一方、水路の清掃や点検など維持管理の一部を地元に委託。まさに地域との連携・協力によって成り立つ「地域共生型」のプロジェクトとなる。

発電所建屋。建築・土木構造物の施工は地元企業の山共建設が担当

 老朽化した既存設備の改良や更新によって、農業用水路としての利便性が高まっていることからすれば、地域にとってもメリットは大きい。
 飛島建設の高橋宏之土木事業本部グリーンインフラ開発部再生可能エネルギーグループ部長は「カーボンニュートラルの流れにある中で再生可能エネルギーへのニーズは大きい。今後も積極的に取り組んでいく」と力を込める。
 オリエンタルコンサルタンツ関東支社の佐藤祐司都市政策・デザイン部低炭素都市づくりチーム副主幹も「プロジェクトを通じて蓄積してきた経験やノウハウは今後の事業展開に生きてくる」と話す。
 11月の運転開始を目指して工事を進めている第4弾プロジェクト「米沢大平小水力発電所」(山形県米沢市)に続く今後の新たなプロジェクト創出にも注目が集まる。

発電所建屋。建築・土木構造物の施工は地元企業の山共建設が担当



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