【記者座談会】「骨太の方針」、成長戦略実行計画など閣議決定/東京五輪まで1ヵ月切る | 建設通信新聞Digital

5月16日 木曜日

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【記者座談会】「骨太の方針」、成長戦略実行計画など閣議決定/東京五輪まで1ヵ月切る

A 2022年度の予算編成に向け、経済財政運営と改革の基本方針2021(骨太の方針)が18日の臨時閣議で決定したけどポイントは。

B グリーン、デジタル、活力ある地方づくり、少子化対策の4課題への重点的な投資が柱となる。社会資本整備にもデジタル化や脱炭素化を求め、特に建設業者の大部分を占める中小建設業の生産性向上に着目した。ICT施工の利活用環境の充実によって、i-Constructionを推進することを盛り込んでいる。

C 防災・減災、国土強靱化関係では、引き続き、5か年加速化対策の推進を明記した。5か年加速化対策の初年度分は、20年度の補正予算で配分したが、安定的・持続的な予算確保の観点から22年度からは当初予算での措置が必須といえる。

D 新型コロナウイルスの影響で民間投資を始め経済が停滞する中、公共工事が下支えしている事実がある。そうしたポイントを踏まえて、今後の予算編成過程を見ていく必要があるだろう。

A 骨太の方針が示す大きな方向性のもと、成長に向けた施策をまとめる成長戦略実行計画なども同日に閣議決定している。

C 産業界への影響が大きいのはグリーン分野だ。住宅・建築物の省エネルギー性能向上と、土木を対象とした建設施工のカーボンニュートラル(CN)が、建設業関係の主な部分となる。

B 住宅・建築物は、国土交通、経済産業、環境の3省が設置した検討会で、住宅の省エネ基準適合義務付けや、大規模建築物の省エネ基準引き上げなどが方向性として示されている。建設施工のCNは、ICT施工の中小建設業への普及拡大、CO2を排出しない革新的建設機械への転換が取り組みの柱になっている。

D 企業側からみると、一時的なコスト増が見込まれるけど、この機に新たなビジネスモデルを創出するなど、脱炭素化を制約と捉えるのではなく、成長の原動力とする視点が求められるね。

開会式を待つオリンピックスタジアム。
いまは仮囲いがあり近寄ることはできない

◆工事調整は延期前と大筋で変わらず


A 話しは変わるけど、新型コロナの影響で開催が1年延期となった東京五輪・パラリンピック大会の開催まで1カ月を切った。五輪関係はこの1年、新型コロナ対応が主軸で路上工事をめぐる話題はあまりなかった。

E 路上工事調整の大筋は、19年度に決まっていた。競技会場や大会輸送ルートからの距離などに応じてエリアを分け、発注時期の調整や一時休止などの内容を設定していたね。

A その後、大会の延期や簡素化が決まったことで影響は出なかったのだろうか。

F 東京都のオリンピック・パラリンピック準備局は、大会関係者の人数削減やサービスの見直しはあるとしつつも「交通対策を検討する上での前提に大きな変更はなかった」としているよ。

G 交通マネジメント(TDM)については、例年規模の需要がある場合にも対応できることが必要だと判断して、実施目標も原則で大会延期前と同じ内容を掲げている。

F 19年夏に大会期間を想定して実施した都発注工事の調整では、道路や上下水道の約6割の工事で、車両の現場への出入り時間を調整した。また、休工日を振り替えたりもして受注者が協力した。

E 本番で対応が必要な工事は、最新の情報によると、1579件あるみたいだよ。交通規制の情報も、都が3月に公表した。新型コロナ対応の影に隠れがちだけど、五輪の主役になる選手の円滑な移動は大会成功への大前提になる。一層の周知が求められるね。



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