【リコーバーチャルワークプレイスを現場導入】多人数がVR空間を同時共有 鹿島・リコー | 建設通信新聞Digital

5月6日 月曜日

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【リコーバーチャルワークプレイスを現場導入】多人数がVR空間を同時共有 鹿島・リコー

 鹿島とリコーは、国土交通省北陸地方整備局発注の「大河津分水路新第二床固改築第I期工事」(新潟県長岡市、発注者=北陸地方整備局、施工者=鹿島・五洋建設・福田組JV)にリコーの「リコーバーチャルワークプレイス」(VWP)を導入した。VR(仮想現実)空間で多人数が同時にリモート接続して現地画像とBIM/CIMモデルを重ね合わせた画像を見ながら打ち合わせできる。リアルタイム動画とモデルを重ね合わせられるシステムも開発中で、同システムを使った現場管理業務のマニュアル化も検討する。

BIM/CIMモデルと現場ライブ映像を同時に見ることができる 


 建設現場では現在、現地のカメラを使った遠隔臨場が実施され始めているものの、同じ資料を見ながらの協議はできず、合意形成に時間がかかることも少なくない。

 VWPは、パソコンとVRゴーグルで遠隔から多人数が同時に同じVR空間に入り、それぞれが好きな視点で対象物や必要な資料を表示しながらコミュニケーションが取れる。ヘッドセットなどの動きに合わせてVR空間の映像がスムーズに動く高い追従性・操作性が最大の特長。

 現地の画像を使ったVR空間に関係者が入り、BIM/CIMモデルや360度写真、3Dスキャナーで計測した点群データなどを空間上に表示しながら協議できるほか、音声入力による付箋メモ、レーザーポインター、資料へのペン書き、高さ・長さなどの計測などのツールも使える。実際に現地に立って対象物を参加者が見ているような体験が可能で、例えば実際には立ち入れない川底の形状を示したモデル上に関係者が立って長さなどを示しながら説明するといった使い方もできる。

 大河津分水路では、河床の岩盤検査を実施した映像と検査結果資料を河床の岩盤面を映したVR空間内で発注者に説明するといった使い方を試した。VR空間に表示・作成した資料やメモなどはすべて保存・再現可能で、協議結果の記録として活用できる。見えている空間内での人物位置に応じて音声が聞こえるため、多人数での現場立会などの活用にも有効とみている。

 静止画ではなく、360度リアルタイム動画でVR空間を構築できるシステムも開発中で、実際の現場に立って現物を見ながら関係者が協議するといったことも可能になる見込み。土木だけでなく、建築現場での利用も可能とみられ、鹿島のほかの現場でも利用を希望する現場がすでに上がっている。施工現場でもプレキャスト製作物の工場検査などでの使用も検討している。



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