【動画付き・山岳トンネル工事の吹付、ズリ出し自動化へ】鹿島クワッドアクセルforトンネル | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

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【動画付き・山岳トンネル工事の吹付、ズリ出し自動化へ】鹿島クワッドアクセルforトンネル

 鹿島の建設機械の自動化を核とした次世代建設生産システム「A4CSEL」(クワッドアクセル)を山岳トンネル工事に適用する「A4CSEL for Tunnel」が、コンクリート吹付作業の自動化技術が現場に適用可能なレベルに達した。ホイールローダによるズリ出しの自動化も進めており、装薬を除く山岳トンネル作業を自動化する実証を2022年度にも実施できる見込みだ。

 今回、現場への適用のめどが付いたのは、穿孔、装薬・発破、ズリ出し、アタリ取り、吹き付け、ロックボルト打設という山岳トンネル掘削の一連の作業のうち、吹き付けとズリ出し。

 なかでも吹き付け作業は、掘削面に所定の厚さで均等にコンクリートを吹き付けるため、対象面の形状にあわせた複雑なノズル操作が必要で、自動化が難しいとされている。吹付面を3Dスキャナーで計測し、吹付面の形状に合わせて必要な厚さを均質に、コンクリートのリバウンドも少なく、速く作業できる最適なブーム・アーム・ノズルの動きをシミュレーションできる吹付シミュレーターを開発した。3Dスキャナーでトンネル内を計測すれば、自動的に最適な吹付動作を導き出せる。このシミュレーターの結果をもとに、自動吹付機を動かせば、支保工と支保工の間(坑壁)や切羽面、支保工(地山と支保工の一体化)のいずれも必要な吹付距離を確保しながら吹き付ける。基準となる厚さのプラスマイナス2cmという精度で吹き付けでき、リバウンド量も従来と比べて30%低減できた。作業人員も、オペレーター1人で実施できる。既に現場導入が可能なレベルに達しており、ノズル本数の増加など改良を進めながら適用現場を探る。

◆自動吹付機による作業の様子

 ズリ出しについては、ダム現場で実適用しているクワッドアクセルの開発で培った自動運転技術を応用し、コマツ製の汎用ホイールローダーをプログラミングに従って自動で稼働するよう改良した。ホイールローダーの位置を坑内GPS(全地球測位システム)とSLAM(自己位置推定技術)で計測・把握しながら、所定位置まで移動してズリをすくい取って破砕設備用ホッパーに投入する一連動作を自動で実施する。今後は、ズリの形状などを自動で計測して最も効率的にすくい取る作業手順を割り出して作業できるよう改良を進める。

◆無人のホイールローダがトンネル内のズリを搬出する

 クワッドアクセルforトンネルでは、既に穿孔作業を自動化する「4ブームフルオートコンピュータジャンボ」を導入しており、19年にはロックボルト打設の完全機械化を実現している。装薬・発破は、法規制の問題で手作業で実施せざるを得ないものの、海外での自動機械の活用などを関係官庁に働き掛けている。一連の作業が自動化できれば、熟練技能者不足や労働災害防止に加え、全体工程の最適化の検討による生産性の向上にもつながるとみている。



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