【健全財政から機能的財政へ】支出抑制が将来にツケ 評論家中野氏 | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

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【健全財政から機能的財政へ】支出抑制が将来にツケ 評論家中野氏

「がんばろう!東北」で基調講演


 評論家の中野剛志氏は、東北経済連合会(海輪誠会長)や東北建設業協会連合会(千葉嘉春会長)など5団体で組織する「東北の社会資本整備を考える会」が6日に福島市内で開いたフォーラム「がんばろう!東北」で基調講演し、公共事業予算に大きな影響を与えている健全財政論から「機能的財政論」への転換を訴えた。経済に悪影響を与える財政健全化は「悪」であり、ありもしない財政破綻を恐れて支出を惜しむことこそ、「将来世代にツケを残す無責任な行為」だと強調した。

 中野氏は「政策に大きな影響を与える経済学者がこれまでに警鐘を鳴らしているにもかかわらず、財政破綻が起きない」とした上で、債務不履行(デフォルト)、金利高騰、インフレの高進のメカニズムを説明した。デフォルトについては、「変動相場制の下では自国通貨を発行する政府が自国通貨建て国債について返済不可能になることはありえない」とした上で、予算収支均衡を目指す健全財政論は無意味と強調した。

 また、財政支出の規模、課税の是非、国債発行の有無など、財政運営の判断基準は予算均衡ではなく、国民経済に与える効果(雇用、物価、金利など)の良しあしによって判断する機能的財政論の必要性を訴えた。

 米国の主要な経済学者の間で、低金利・低インフレ下では金融政策の効力が落ち、財政政策が最も有効という見解が台頭していることを紹介した上で、長期の成長戦略を見据えた政策の重要性を指摘した。


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