建設通信新聞

書籍案内
お申し込み ログイン
ヘッドライン
新着ニュース
  • 新着ニュース
    • 行政
    • 企業
    • 団体
    • 人事・訃報
    • インタビュー
    • その他
    • 北海道・東北
    • 関東・甲信越
    • 中部・北陸
    • 関西
    • 中国・四国・九州
    • 全国・海外
  • WEB刊
  • 動画 NEWS
購読お申し込み 書籍案内
    ホーム > WEB刊 > 公式ブログ > 【45°の視線】建築史家・建築批評家 五十嵐太郎氏 寄稿「グッドデザイン賞における建築と隣接する作品」
公式ブログ

【45°の視線】建築史家・建築批評家 五十嵐太郎氏 寄稿「グッドデザイン賞における建築と隣接する作品」

最終更新 | 2021/12/24 13:41

Facebookでシェアする
文字サイズ

 

 

 

日本建築学会賞(作品)や日本建設業連合会のBCS賞など、ど真ん中直球のアワードではなく、建築も含む、あるいは建築と隣接するアワードでは、バラエティーに富んだ作品が選ばれる。ことし筆者が審査を担当したグッドデザイン賞から、いくつか興味深い作品を紹介したい。これは一般人にもっともよく知られているアワードだろう。業界内では、日本で最も権威があるのは日本建築学会賞(作品)だが、恐らく施主が喜ぶのは、グッドデザイン賞の方だろう。

大賞の選出に当たっては、ホテルでファイナリストのプレゼンテーションが行われ(ただし、ことしと昨年はコロナ禍のためオンラインで実施)、全部門の審査員だけでなく受賞者や来場者も投票し、大勢が見守る中、決定される。芥川賞も電話の横で待つ作家の映像がよく使われるが、こうしたライブ感のあるイベント性は、グッドデザイン賞のブランディングに寄与しているはずだ。また、各地の地方紙に対し、県ごとの受賞者のプレスリリースを送るなど広報がしっかりしている。一方、日本建築学会賞(作品)は、審査員によって結果が決定した後も、理事会の承認を経て、実際に発表されるのはしばらく後であり、劇的な発表にはなり得ない。

◆デザインが社会を変える
さて、2021年度のグッドデザイン賞の大賞は「遠隔勤務来店が可能な『分身ロボットカフェDAWN ver.β』と分身ロボットOriHime」だった。これは吉藤健太郎が外出できない重度障がい者も働けるシステムを開発し、新日本橋駅の近くにことし誕生したカフェである。筆者も6月のオープン直後に訪れ、これがグッドデザイン賞に応募してきたら相当上位になるだろうと思っていたが、本当に大賞を獲得した。

グッドデザイン賞大賞を受賞した分身ロボット「OriHime」

カフェでは、遠隔操作によって3種類のロボットが活躍する。まず、テーブルの上に置かれた小型のロボット「OriHime」は、手や首を動かしながら客と会話したり、食事の注文を行う。次に自走型分身ロボット「OriHime-D」は店内を移動し、ドリンクを運ぶ。そしてカウンターでは、両腕を細かく動かしてコーヒーを淹れるバリスタのロボットが立つ。この店では遠隔地で働くメンバーを「パイロット」と呼ぶが、いずれのロボットも彼らが動かしている。

筆者の場合は、青森や山形の自宅にいるパイロットに接客してもらった。ロボットはいわゆるかわいいデザインである。が、そこに情報や工学のテクノロジーが結びつくことによって、分身ロボットカフェはまったく新しい働き方を可能にした。まさにデザインが社会を変える事例である。筆者は「建築(公共施設)・土木・景観」を扱うユニット14という部門に所属したので、1次や2次審査で分身ロボットカフェを担当したわけではない。が、それでも建築の専門誌を眺めるだけでは、出会うことがないであろう作品が応募されていた。例えば、ジョンソンタウンのほか、木伏緑地とコロナワクチン接種のサインシステムである。実は、3作品とも全体のグッドデザイン・ベスト100にまで入賞し、さらにジョンソンタウンはグッドデザイン金賞にも選ばれたように、高い評価を獲得した。

埼玉のジョンソンタウンは、不動産の磯野商会と建築家の渡辺治氏が協働し、オリジナルの米軍住宅23棟を群として保存しつつ、新しい住宅・店舗も同じスタイルを踏襲させることによって、時間をかけてつくり上げた2.5haの奇跡的なまちづくりである。

また19年に始まった盛岡の木伏緑地は、Park-PFI(公募設置管理制度)の公民連携プロジェクトによって、川沿いのあまり使われていなかった公園にコンテナを利用した店舗群を出現させたものだ。プロデューサーは猪原勇輝氏、デザイナーはビルススタジオである。

グッドデザイン賞の審査を担当したことで作品の存在を知り、いずれの現地も足を運んでみたが、ユニークな空間を体験することができた。もちろん、有名な建築家の作品ではない。しかし、インクルーシブかつ個性あるまちをつくりたい、あるいは川辺で気持ちよくビールを飲みたいといった思いから生まれたプロジェクトは、圧倒的な存在感をもつ。



(いがらし・たろう)建築史家・建築批評家。東北大大学院教授。あいちトリエンナーレ2013芸術監督、第11回ヴェネチア・ビエンナーレ建築展日本館コミッショナーを務める。「インポッシブル・アーキテクチャー」「装飾をひもとく~日本橋の建築・再発見~」などの展覧会を監修。第64回芸術選奨文部科学大臣新人賞、18年日本建築学会教育賞(教育貢献)を受賞。『建築の東京』(みすず書房)ほか著書多数。



 

  

   

ほかの【45°の視線】はこちら

 
建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら

  • #OriHime
  • #ジョンソンタウン
  • #五十嵐太郎
  • #分身ロボット
  • #吉藤健太郎
公式ブログ 建設通信新聞購読お申し込み

関連記事

  • 【教訓を未来へ】建築学会が東日本大震災10年を機にシンポジウム 歴代会長6氏がリ…

    最終更新 | 2021-03-10 15:01

  • 【45°の視線】建築史家・建築批評家 五十嵐太郎氏 寄稿 磯崎新の教養とサブカル…

    最終更新 | 2023-01-19 10:19

  • 【45°の視線】建築史家・建築批評家 五十嵐太郎氏 寄稿 「アニメ建築」と「シン…

    最終更新 | 2021-10-20 10:50

  • 【45°の視線】建築史家・建築批評家 五十嵐太郎氏 寄稿「アートと建築をつなぐ―…

    最終更新 | 2021-12-26 15:53

  • 【45°の視線】建築史家・建築批評家 五十嵐太郎氏 寄稿「森高千里と『この街』の…

    最終更新 | 2021-12-24 13:29

記事フリーワード検索

建設専門紙がつくる
工事データベース
建設工事の動きのロゴ
紙面ビューワ

本日の紙面

2026/03/16
key

3/11 更新!

  • 新聞の画像
    建設通信新聞
    月刊建設工事の動き
    見本請求
  • DIGITAL会員登録
    購読のお申し込み
  • 連載記事
  • 広告のご案内
  • リリースはこちら

公式SNS

アクセスランキング

  • ゼネコン/高水準維持も早期化の負担大/2年で1000人増

    掲載日|2026/03/07
  • 【消防庁舎を移転新築】大阪・池田市/計画短期方針に盛り込む

    掲載日|2026/03/09
  • 【ともに2万㎡、7月着工】江東区塩浜と千石にDC

    掲載日|2026/02/12
  • 【国内最大のウエーブプール】千葉・流山市で29年夏オープン、…

    掲載日|2025/08/22
  • 【霞が関・虎ノ門地区開発】A地区15.1万平米、B地区は26…

    掲載日|2026/03/11
  • 会社概要
  • サイトマップ
  • サイトポリシー
  • 特定商取引法表記
  • 個人情報保護
  • 行動計画
  • お問い合わせ
Copyright ©2012-2026
The Kensetsutsushin Shimbun Corporation.