【地元企業でICT内製化を】トップランナー企業が講演! 東北地方整備局のセミナー | 建設通信新聞Digital

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【地元企業でICT内製化を】トップランナー企業が講演! 東北地方整備局のセミナー



 ICT施工は地元建設業でも内製化できる--。東北地方整備局の主催で東北地方のICTトップランナー企業が自社の取り組みを紹介する地元経営者向けセミナーが8日、仙台市内のハーネル仙台で開かれた=写真。渋谷建設(山形市、澁谷豪社長)と泰昌建設(同、渋谷哲社長)がトップによる導入決断から初期投資費用回収までの期間、社内のICT人材育成方法などについて語った。

  渋谷建設は、これまでにICT活用工事を100件以上、全面活用は17件の実績を持つ。2003年から3次元設計データ作成やICT出来形管理要領に対応した土木CADを技術系全社員に導入した。15年からはUAV(無人航空機)空撮を開始し、16年度にはUAV測量から点群処理、出来形計測といったi-Constructionの全面活用を本格化した。これらに使用する機器やソフトウェアなどの初期投資費は1500万円程度で、ICT建機はすべてリースという。

 社内体制について柿崎洋取締役工務管理部長は、管理部門でサポートはしているものの、ICTは入社2年目の専属女性技術者が1人で担っていると紹介した。その上で「ICT技術は地方建設企業でも内製化できる。補正や補助金などもあるため、3件ほど施工すれば人件費や初期投資などを回収して利益も出せる。ただ、ICTの活用のために設計を外注すると経費がマイナスになることもあり、自社に技術も残らないため、水平展開もできない」と留意点を話した。

 澁谷和取締役は企業経営の観点からICT導入のメリットなどを解説した。導入のきっかけは「社長がBIM/CIMに関心を持ったことだ。ICTの導入は、必ずトップの決断が必要だ」と、17年に3次元レーザースキャナーを購入した当時を振り返った。

 導入に当たっては、技術職員からICT担当を選任し、ICTを推進する建設コンサルタント企業から1年程度の指導を受けて技術を習得させた。また、社員の関心を呼ぶために、日本UAS産業振興協議会(JUIDA)認定ドローンスクールの受講希望者を募ったところ、女性事務員らも含めて20人が応募した。自身も受講して資格を取得したという。こうした社内状況を紹介しつつ「ICTは特に若い世代が感覚的に受け入れやすい。新しい取り組みには困難とストレスがあり、切り替え時には手間もあるが、慣れると楽になる」と話した。

 さらにDX(デジタルトランスフォーメーション)関連法の改正事例などを解説して「われわれの仕事は業務を通じて国民の安心・安全を守るのが絶対の理念だが、その手段は変化している。時代の流れに乗れなければ企業としての生き残りも困難になる。後になるほど負荷も増える」と指摘した。


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