山形県立産業技術短期大学校(山形市、尾形健明校長)の土木エンジニアリング科の第1期生となる2年生の就職内定率が約9割、2級土木施工管理技士(学科)の合格率は100%を達成した。道路や橋梁など公共施設の長寿命化や自然災害への対応、除排雪といった地域特有の課題に対する知識や技術を身に着ける未来のインフラ整備専門家の養成校として順調な滑り出しをみせている。
第1期生は男子19人と女子2人の計21人。出身高校の内訳は普通高卒が9人、工業高卒は12人となっており、当初の予想に対して、普通高校から“ものづくり”に関心を示した多くの生徒が入学した。
このうち、内定を獲得した学生はいずれも建設企業を希望した18人。企業の内訳は11人が施工管理系、7人はコンサルタント系となっている。残る3人のうち、1人は民間企業から就学、2人は公務員志望のため、1期生の民間企業への就職希望者は内定率が実質100%となった。
同科では、2年間で高度職業訓練基準を満たす訓練時間2800時間以上を確保し、土木分野の基礎知識について座学のほか、測量やCIM、施工管理などの技能を習得する実践的な実習カリキュラムを組んでいる。県県土整備部や建設業団体の職員を講師に招き、第一線で働く実務者の直接講義を多く取り入れていることも特色の1つとなっている。
ことし4月には実験実習棟が完成し、コンクリート試験や土質試験等を行う実験室や施工実習室などが整った。また、屋外の老朽化実習場には更新などに伴い提供を受けた老朽化した橋梁の桁や床版などの一部を設置し、公共施設の実物を使ってメンテナンス技術を学習することができる。
さらに、10月からは県測量設計協会と日本建設機械施工協会(JCMA)東北支部の協力のもと、UAV(無人航空機)やICT建機などの実機を使って実習を展開していく予定だ。
鈴木賢一教授は、1期生の高い就職内定率について「当科は4年制大学などと違って選択制ではなく、いずれも必修科目であり、実践教育に力を入れている。生徒が2年という短い期間に、濃密に学習していることが、今回の成果に結び付いたと考えている」と話している。
学科主任の古谷浩教授は「今年度に入学した2期生も、土木を知らない普通高校からの生徒が多いが、ICT技術が建設業界の3K(きつい・汚い・危険)のイメージの払拭に貢献しているのではないか。地域を守る建設業の担い手を安定的に育てていきたい」と意欲を示している。