【土地建物を格付け】都市全体の震災リスク見える化・定量化 森ビル | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

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【土地建物を格付け】都市全体の震災リスク見える化・定量化 森ビル

2月から社会実装、23年1月からサービス開始


 森ビルは17日、最新のIoT(モノのインターネット)技術を駆使した「土地建物格付けシステム」を発表した。多数の地盤と建物に設けたローパワーネットワークセンサーを通して、地震発生時の揺れ特性に関する観測データを収集し、 各建物の揺れ性能を分析・格付けすることで、都市全体の震災リスクを見える化・定量化する。 2月から社会実装を始め、2023年1月のサービス開始を目指す。

 建築研究所の委託事業「革新的社会資本整備研究開発推進事業(BRAIN)」の一環として、小堀鐸二研究所(東京都港区)と共同で研究開発した。

 同システム用に独自開発した地震センサーは、乾電池で1年以上の駆動が可能な省電力、 無線式の小型タイプ。電気工事が不要で屋外にも設置できる。コストは従来機の10分の1以下に抑えることを目指している。 これを建物の屋上と1階部分、地盤に置き、揺れの大きさや周期特性、増幅の程度などを調べる。分析結果をもとに、 各ビルの所有者や管理者らに適切な対策を促し、 都市全体の震災リスク低減につなげるのが狙いだ。

 1981年の新耐震基準施行から約40年が経つ中、償却期間の50年経過を見据え、基準を満たす建物についても建て替えの要否が検討され始めている。一方、地盤の条件や建物の老朽化スピードは一律でないため、築年数や理論値だけによらず、実態としての各建物のリスクと安全性を正しく評価する方法が求められている。

 同システムで安全性を確認できれば、古いストックの継続使用などが可能となり、脱炭素社会の実現にも貢献できる。格付けは、それぞれの地盤や建物の揺れ特性をきめ細かく把握し、「偏差値」を算出して示す。

 既に六本木ヒルズを始め、港区内のオフィスビルや森ビルが地方創設包括連携協定を結んでいる長野県茅野市の小中学校などに試作機を設置済みで、まずはより多くのデータの蓄積に取り組む。RC造やS造の民間建築物をメインターゲットに、サブスクリプション方式によるサービスを首都圏から順次展開する方針だ。


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