四国地方整備局四国山地砂防事務所は3日、徳島県三好市西祖谷山村有瀬地区で進めている排水トンネルの掘削に着工する。地すべり対策の一環として、326mの排水トンネルとトンネル側部や上部へ放射状に集水するための管を整備する。施工は鉄建建設が担当。同事業では、2019年11月から地すべり緊急対策としては国内初となるスーパーウェルポイント(SWP)工法による地下水強制排除設備が運転している。
事業は、18年7月豪雨や19年8月の台風10号で地すべりの滑動が活発化している同地区の地すべり緊急対策となる。斜面の一部またはすべてが地下水の影響と重力によって斜面下方に移動する地すべりを抑えるため、地盤に影響を及ぼす地下水を効果的に流す。トンネルはNATMと発破で9月まで掘削し、23年度の完成を目指す。内空断面積は18.2㎡、掘削土量は約6800m3。総事業費は22億円。
現場で既に運用しているSWPは、真空ポンプと揚水ポンプを組み合わせて地下水を排除する工法。地上に設置した真空ポンプが井戸内部を真空にすることで、空気を通さずより多くの地下水が集水でき、強制的な排水が可能になる。トンネル工事の安全対策が期待できる。
有瀬地区地すべり地帯は、吉野川右支境川の右岸に位置し、山林や農地として利用されているほか、緩斜面部に宅地もある。
【公式ブログ】ほかの記事はこちらから
建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら