【現場から】仮設床版で3車線確保/NEXCOの北陸自動車道栄橋床版取替工事 | 建設通信新聞Digital

5月12日 日曜日

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【現場から】仮設床版で3車線確保/NEXCOの北陸自動車道栄橋床版取替工事

 NEXCO東日本新潟支社は、リニューアルプロジェクトの一環として、新潟県三条市で北陸自動車道栄橋、貝喰川橋の床版取り替え工事を進めている。施工は鉄建建設が担当。一般車両への影響を軽減するため、上下線の間を床版でつなげて車線を確保する大規模な仮設工事が1年がかりで完了した。5月から本格的な床版取り替えが始まった。 

昼は既設床版の撤去を進めている

栄橋は橋長368m、貝喰川橋は同156m。ともに供用から42年が経過し、凍結防止剤の塩害でひび割れや剥離、土砂化が進行していた。
 2橋とも5月から下り線の床版取り替えに着手した。120t吊りオールテレーンクレーンを1橋につき2台使い、橋梁中央部から端部に向かって施工する。昼は既設床版の撤去、夜は新設床版の設置と24時間態勢で工事が進む。1日の施工量は1橋当たり床版8-10枚。工事全体でプレキャストPC床版を984枚使う。
 2橋が位置する栄スマートIC~三条燕IC間は1日当たり3万9300台(2019年実績)が通行する。加えて、上り線は午前7時ごろ、下り線は午後5時ごろに交通量がピークとなる傾向にある。工事の交通規制による影響を最小限に抑えることが課題だった。

専用車両で車線を切り替え

 そこで2橋とも独立した上下線の間に、仮設の桁とRC床版を設置。通常の床版取り替え工事は施工車線の反対側で通行可能な2車線を確保するが、今回の工事は仮設床版上を通行可能にしたことで3車線を確保した。20年度は降雪期を除き、1年間をこの仮設工事に費やした。鉄建建設の村田浩平所長は「かなり大規模な仮設工事だった」と振り返る。

村田所長

 さらに朝夕の交通量の変動に対応するため、ロードジッパーシステムで時間帯に応じて車線の切り替えを実施。専用車両でコンクリートブロックの防護柵を移動し、午前6時から正午までは上り線を、正午から翌午前6時までは下り線を2車線としている。上下線を床版でつなげ、かつ時間帯で車線を変更する試みはNEXCO東日本で初めて。防護柵の延長3300mも国内で最長となる。
 現場事務所の交通監視室では渋滞などの状況を24時間モニタリング。道路上の簡易情報板に交通規制や渋滞の情報を提供している。NEXCO東日本新潟支社長岡管理事務所の久住川順一所長は「安全な工事はもとより、お客さまの安全を確保し、不便をかけないよう各種対策や交通監視を実施している」と説明する。
 下り線の床版取り替えは7月までを予定している。8月から10月までは上り線の床版を取り替える。22年度は仮設床版を撤去し、中央側の床版や壁高欄を設置する。工事完了は23年3月を見込む。村田所長は「通行車両に迷惑をかけないよう、安全を確保して無事に完成させたい」と意気込む。



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