【現場から】技術と工夫で寒さを克服 前田道路の中部横断道舗装9工事 | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【現場から】技術と工夫で寒さを克服 前田道路の中部横断道舗装9工事

路面ヒーターで効率的に除雪


 前田道路が、長野県佐久市で施工を手掛ける「中部横断自動車道舗装9工事」が急ピッチで進んでいる。蓼科山の麓に位置し、浅間山や荒船山に囲まれる標高約700mの現場は、1-2月の最高気温が零度を下回ることも珍しくない。そうした厳しい気象条件の下、アスファルト合材の運搬や施工面での工夫を凝らし、品質確保に全力を注ぐ。二階堂良現場代理人は「絶対に事故を起こさない。完成へ向けてみんなが一丸となって頑張っていく」と意気込む。
 国土交通省関東地方整備局長野国道事務所発注の同工事は、長野県区間の佐久南IC~八千穂高原IC間の14.6㎞のうち、佐久市大沢~臼田間の1.6㎞を施工する。施工面積は約1万8000㎡。工期は2017年6月14日から3月31日まで、1月11日時点での進捗率は約4割。

佐久市大沢から臼田間の1・6キロを施工


 アスファルト合材の適正温度内での敷き均し、転圧が求められる舗装工事にとって、同現場は「寒い時期の施工が続く」(二階堂現場代理人)ことが最大の課題となる。そのため、転圧には振動マカダムローラーを採用した。振動を使って素早くアスファルト合材を締め固められるため、温度低下前の早期の施工を実現する。
 アスファルト合材の運搬にも注意を払う。現場で使うアスファルト合材は佐久市に隣接する東御市の工場から40-50分程度かけて輸送されるが、その間の温度低下を防ぐため、ダンプに特殊な保温シートを導入。施工まで温度を確保し、品質の確保に寄与している。
 また、冬季には5cm程度の積雪も観測される。日中の気温が上がらず、一度降ると解けずに残ってしまうため、路盤面を温める路面ヒーターによる効率的な除雪にも取り組む。凍上を防ぎ、積雪による工事の影響を最小限に抑えている。
 路盤工には3Dマシンコントロール(MC)によるグレーダーを導入するとともに、上層路盤の安定処理には3DMCのアスファルトフィニッシャーを使用するなど、ICTの活用も進む。橋面舗装での高さ制御にはラインリーダーも採用し、精度と品質の確保に注力する。
 当初はレーザースキャナーの導入も検討したが、スケジュールの都合もあり断念。しかし、二階堂現場代理人は「今後、100mでもいいから部分的に活用してみたい」と展望する。
 周辺では他工区で同様に中部横断自動車道の舗装工事が進んでいる。プラントやダンプの台数などが限られる条件だが、「事前に予定し、早めの手だてをしている」(二階堂現場代理人)とし、万全な体制で完成へ向けて施工を進める。