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【MDFの代替で展開/アブラヤシ廃材活用の木質ボード検証開始】パナソニック

 パナソニックのハウジングシステム事業部は、温室効果ガス削減や森林資源保護のため、マレーシアのアブラヤシ廃材を活用した木質ボード技術「PALM LOOP(パームループ)」の事業検証を4月から始める。検証では主に供給面やマーケティング面を検討する。ボードはまずMDF(中密度繊維板)の代替として展開し、次に建材や建築に用途拡大も目指す。

 従来、マレーシアやインドネシアでパーム油を生産しているアブラヤシの農園では、油を収穫した後のアブラヤシが廃材となって農園に放置され、メタンガスなどの温室効果ガスを排出するという課題があった。パナソニックはこの廃材を活用してMDFを代替できるボードを開発し、温室効果ガス削減と森林資源保護を狙う。
 検証は、パナソニックがボードの原料調達や製造、アジア家具フォーラム(広島市、阿部野育三代表理事)のメーカー12社がボードを使った家具の製造、大塚家具と東京インテリア家具が家具の販売を担当する。検証期間は2022年4月-23年3月末までとした。

 17日の会見でパナソニックの足立真治ハウジングシステム事業部CIO(最高情報責任者)イノベーション本部副本部長は「ボードの性能や製造コストは、既存のMDFと比較して既に競争力のめどがついている。検証では、サプライチェーンが安定的に機能するかなど、供給面を主に検証する。また昨今は、社会的課題の改善に貢献する製品を好むエシカル(倫理的な)消費の風潮が消費者に広まっているが、実際に廃材を活用した製品がどの程度の訴求力を持つかも検証に含む」と説明した。

 今後については「アブラヤシの廃材はマレーシアで年間4500万t、インドネシアで9000万tも発生する。MDF以外に用途を広げても、活用できる廃材の量がまだある。次はパーティクルボードや合板への廃材活用を目指す。ボードの用途で言えば次は建材となる。建築用途も検討する。また当社グループとして素材方面に事業を広げる戦略があり、パームループはその一環となっている」(足立副本部長)と述べた。



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