【BIM未来図・美保テクノス⑤】BIM軸に社内外へのつながり 成果を地域建設業の導入支援に | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【BIM未来図・美保テクノス⑤】BIM軸に社内外へのつながり 成果を地域建設業の導入支援に

 美保テクノス(鳥取県米子市)が、BIMソフトのRevit向け支援パッケージ『BooT・one』を提供する応用技術(大阪市)と業務提携を結んだのはことし2月のことだ。大手ゼネコンを中心に導入が進むBIMだが、資金の面でも人材の面でも厳しい地域建設会社にとってはスタートアップの不安がぬぐえない。両社は低コストでシンプルにBIMを導入できる新たなパッケージツールを提供し、地域建設会社の導入を後押ししたいと手を組んだ。

 今でこそフルBIMへの挑戦を進める美保テクノスだが、Revitを自らのツールとして使いこなすまで長年悩み続けた。BooT・oneの導入をきっかけに成長の道筋を整えてきただけに、野津健市社長には「同じように悩む地域建設会社の力になりたい」との思いがある。それに共感した応用技術の船橋俊郎社長も「地域建設業向けの最適な活用方法を提示し、BIMの普及を盛り上げていきたい」と提携を決めた。

 建設会社のBIM導入機運は高まっているものの、地域建設業にとってはまだBIMの敷居は高く、導入したくても何から手を付けていいのか分からない状況がある。美保テクノスは2件のフルBIMプロジェクトの成果をベースにしながら、応用技術と1年かけて地域建設会社向けのBIM支援パッケージを提示する方針。両氏は「BIM導入へのベストプラクティス(最適解)を形にしたい」と意気込む。

 美保テクノスの新田唯史BIM戦略部長は自社がBooT・oneを通じて、設計段階から施工段階にデータが流れるようになった状況を踏まえながら「設計や施工の各部門が一体となってBIMの恩恵を受けられる地域建設会社ならではのワークフローを提示したい」と考えている。応用技術の高木英一執行役員toBIM推進部長も「よりシンプルな枠組みとして誰もが使いやすい便利ツールに仕上げたい」と力を込める。

野津社長(左)と業務提携を結んだ応用技術の船橋社長


 地域建設会社にフォーカスしたパッケージは国内初の試みだ。2月に米子市内で開いた両社の記者会見で、野津社長は「米子をBIMの先進都市にしたい」と訴えた。会見には米子市の伊木隆司市長も出席し、「建設業の技術革新の手段であるBIMを支援する新たな枠組みが米子の地でチャレンジすることにワクワクしている」とエールを送った。

 地元の鳥取大では、学生が運営する団体『ツナガルドボク』がRevitによるBIM設計コンペを主催しており、美保テクノスは協賛企業として取り組みを後押ししている。近年の建築系大学ではBIMを使った教育が広がりつつあるが、同大の学生は土木学科でありながらRevitの高い操作スキルを持つ。野津社長は「コンペが学生にとってBIMの楽しさ、奥深さを知る良い機会になっている」と考えている。4月に迎えた新入社員11人の中には昨年のコンペ最優秀者の姿もある。同社はBIMを通じて、社員同士のつながり、そして社外にもしっかりとつながるきっかけを作ろうとしている。

鳥取大ツナガルドボクのBIM大会を協賛



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