【BIM2022 千代田測器】墨出し作業の自動化で生産性向上 | 建設通信新聞Digital

5月1日 水曜日

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【BIM2022 千代田測器】墨出し作業の自動化で生産性向上

 千代田測器(東京都台東区、平野啓太郎社長)は、BIMデータと最新測量技術を連携することで現場の生産性向上に資する新たなソリューションを提案してきた。ソリューション営業部ICT営業課の松村武氏は「測器販売代理店としての強みを生かして、現場の省人・省力化や現場のデジタル化に向けた技術支援を実施してきた」と語る。
 同社は日立チャネルソリューションズが提供する設備工事などで必要な床面への位置出し作業を省力化できる自動墨出しロボットシステム「SumiROBO」の営業展開を新たに開始した。
 本システムの開発には、長年培ったセンシング技術やメカトロ技術を建設現場の自動化に応用した。オフィスビルや学校、研究所、工場、店舗など数十カ所の建設現場で試行を重ね、商用化に至った。研究開発や自社利用以外で、墨出し作業を自動化するロボットの商用化は初となる。

SumiROBOが自律走行し作業を省力化する


 特長として、墨出しロボットシステムに指示を入れるだけで、図面に基づいた墨出しポイントに位置や文字、マークなどの情報を正確に印字することでヒューマンエラーのない高精度な墨出しを可能とする。従来作業と比較して延べ作業時間の削減に貢献する。「例えばSumiROBOにより墨出し作業を夜間に自動で行えば、翌日には別作業に着手することも可能になる」(松村氏)ことも期待されている。
 トプコン製「LN-150」(杭ナビ)と連携し、ロボットに設置したプリズムを追尾することでプラスマイナス3mm以内の正確な墨出しを可能とする。墨出しデータの作成は、図面変換ツールを通じてCADデータ(DXF形式)から自動変換できる。
 タブレット端末から墨出し作業範囲やロボットの進入禁止範囲を指定するほか、測量機の操作も端末を通して専門知識がなくても容易に設定が可能で、墨出し作業の未経験者でも利用できる。
 前方・下方部に設置したセンサーにより障害物や開口部を検知、回避動作を自動で行う。万が一、人に衝突した際も緊急停止する。障害物の検知時には搭載したAIが回避ルートを自動探索して作業を継続する機能も備えており、連続自動運転により墨出し作業の省力化を実現する。
 今後は設計データと現場の状況から経路を生成し、自律走行と位置情報の高精度化など、データを活用したソリューションの強化にも取り組む。
 松村氏は「作業結果などの取得した施工情報をBIMに落とし込むことでデータ利活用の裾野を広げていきたい」と力を込める。



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