【コンクリ長寿命化】腐食抑制する新材料開発 CHETと大同塗料 | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【コンクリ長寿命化】腐食抑制する新材料開発 CHETと大同塗料

劣化防止のメカニズム


 NEXCO中日本のグループ会社である中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京(CHET)は、大同塗料と共同で既設コンクリート構造物の長寿命化対策に有効な材料「アクアシール防錆剤プラス」を開発した。これをコンクリート表面に塗布すると、防錆剤がコンクリートに浸透して鉄筋腐食を抑制できる上に、塗布してもコンクリート表面の状況を確認できる点が特長だ。効果検証の結果、高い鉄筋腐食抑制効果を確認できたことから、今後、適用条件を整理して既存コンクリート構造物に広く展開していくことを目指す。

 高速道路のコンクリート構造物の劣化要因の一つが、路面凍結を防ぐために散布する凍結防止剤による塩害。散布した凍結防止剤は水に溶けて塩化物イオンとなり、コンクリート内部へ水や酸素とともに浸透し、鉄筋に達すると鉄筋が腐食して構造物の性能低下を招く。

 この対策としては、塩化物イオンを含んだコンクリートを極力除去した上で、新たな塩化物イオンや水、酸素が浸透しないように、表面被覆工法で補修するのが一般的だ。ただ、同工法は表面をポリマーセメント系などで被覆するため、既に塩化物イオンなどが内部へ浸透している場合には鉄筋の腐食防止効果がないこと、コンクリート表面への被覆で表面の点検が困難になることが課題として挙げられている。

 これらの課題を解決するために開発したのが、アクアシール防錆剤プラス。シラン・シロキサン系の表面含浸材に、浸透性防錆剤を追加配合した材料となっている。

 シラン・シロキサン系の表面含浸材は、コンクリート表面に塗布すると表面近くで防水層を形成する。これで表面を覆わずに、劣化因子である外部からの塩化物イオンや水の浸入を抑制するため、コンクリート表面の状態確認も可能となった。さらに、追加配合した浸透性防錆剤は鉄筋近傍まで浸透し、鉄筋周囲に防水性の膜を形成するため鉄筋腐食の抑制効果も発揮する。

 これらの効果により、コンクリート構造物の鉄筋腐食の抑制とコンクリート表面点検の両立を実現する。塩化物イオンが内在する試験体を用いた塩水噴霧試験の結果、無塗布や表面含浸材だけを塗布した試験体は鉄筋の腐食が見られたのに対し、同製品を塗布した試験体の鉄筋は腐食が認められず、高い鉄筋腐食抑制効果を発揮した。


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